【連載】大手化粧品会社の研究(78)サティス製薬の会社研究 ~OEM取引先累計700社超に~(上)

2019.02.25

特集

編集部

粧品OEMメーカーの株式会社サティス製薬(埼玉県吉川市、未上場)は、OEM受託にあたって顧客の化粧品事業ニーズに合わせて新規顧客獲得・リピート顧客獲得の観点から提案を行い、OEM受託に繋げている。新規顧客獲得においては、商品の新規性・希少性を訴求する同社独自のナチュラル原料を提供。リピート顧客獲得においては、ターゲットの肌悩みに正しくアプローチする皮膚科学を用いた処方設計を提案。また、長期的な効果を定量的に表現し、広告要素としても活用できるエビデンスデータの提供などを行いユーザーの収益を考えたOEM受託生産を実現している。

同社の事業の特徴ともいえるナチュラル原料の提供は、同社が取り組む「ふるさと元気プロジェクト」を通じて行っているもの。
農林漁業、林業などの生産者が作った原料、素材等を化粧品の成分として開発し全国に流通させることで、生産者へ還元する生産者応援プロジェクト。日本全国の地域に根差したこだわり素材を化粧品の原料として採用し、独自の技術力をもって製品開発を行う。現在、独自に厳選した国産のナチュラル原料は、ビワ、柿、桃など80種類以上にのぼる。
これらの原料を配合した化粧品開発を積極的に提案している。また、化学合成原料に匹敵する機能性を持った原料開発にも力をいれている。

皮膚科学に基づく処方設計については、肌悩みに正しくアプローチするもの。皮膚に安全で、機能性の高い処方開発をコンセプトに置く事で、女性の肌悩みに対する潜在ニーズを満たす製品を提供するのが狙い。

製品のエビデンス(有効性・機能性・安全性)を実証する評価試験については、100項目以上の試験を行うなど国内でも高いレベルの試験を実施している。特に同社は、効能効果について数値や画像で表現する可視化を実現している。

同社は2019年2月に女性約300人のストレスとハリの関係を解析し、過剰なストレスが肌のハリ低下に関与していることを見出した。
この実測データで効能効果を解析し知見を応用してストレスによる肌荒れやハリの低下を改善する有効性の処方を開発した。女性の肌の粘弾性(ハリ)と、ストレス指標であるコルチゾール量を測定し、これらの関係を解析した。その結果、コルチゾール量の少ない女性では、肌の弾力が統計学的有意に高いことを示した。つまり、ストレスの少ない女性ほど、肌のハリがあることを実証した。

同社は、主力事業のOEM受託についてこうした強みを前面に押し出しながら受注拡大を図っている点が事業の大きな特徴といえる。すでにOEMの取引企業数は、通販事業者を中心に累計700社を超えた。

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