【連載】大手化粧品会社の研究(80)スターモアの会社研究 ~EGF配合を前面に押し出して化粧品販売~(上)

2019.03.7

特集

編集部

スターモア株式会社(神奈川県藤沢市)は1970年3月に創業。以来、現在までスキンケア化粧品の開発・製造・販売とエステサロン開業者に店舗開設を支援するなどの事業を展開している。

同社は、スキンケアの製造・販売において「EGF」(Epidermal Growth Factor=正式名・ヒトオリゴペプチド-1)成分を前面に押し出しながら、通販市場での化粧品販売とエステサロン等への卸販売に力を入れている。
EGFは、上皮細胞を再生させる因子で新しい細胞産生を促すペプチドのひとつ。EGFは、ヒトの体内にあるもので、肌、唾液等に含まれ、53種のアミノ酸で形成される。米国で発見されて以来、火傷による皮膚移植や角膜切開による傷の回復促進など医療の分野で幅広く使用されてきた。また、EGFの肌細胞への効能効果について日本EGF協会等の実証試験で証明されたことなどもあって化粧品の成分として使用が急速に広がった。
EGFの特徴は、皮膚の表面にある細胞に働きかけて分裂、集合を繰り返しながら、新しい細胞の生産を急速に促進する働きがある。特に、EGFの効能効果は、肌細胞を活性化させて年齢と共に周期が遅れる“ターンオーバー〟を通常の周期に導くという効果がある。ターンオーバーが正常な状態に戻ることで、老化を防ぎみずみずしい肌を取り戻せることに繋がる。

同社がEGFの効能効果に着目してEGF成分を配合したスキンケア製品を誕生させたのは2005年。2005年秋に厚生労働省より化粧品使用の認可がおり、EGF成分を配合したスキンケア製品を段階的に商品化した。
現在では、EGFを配合した美容液や化粧水、クリーム、パック・ファンデーション・ジェルなど約38品目を通販市場に投入・販売している。
しかし、EGF成分配合の化粧品販売は、競合が激しい。EGF成分を前面に押し出して化粧品を販売している企業は、大手化粧品を含めて約10社程度にのぼる。中には、中国産のEGFを使用したものもみられる。

EGFが国内で認可されて約20年を経過し今では、ポピュラーな成分として定着し必ずしも稀有で珍しい存在ではなくなった。
そうした状況の中で、EGF成分を前面に押し出した化粧品販売が引き続きユーザーを引き込みながらどの程度、実需に繋げることができるか、大きな関心事といえる。

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