【連載】化粧品・美容各社の業績と企業買収⑤化粧品・美容各社の業績と企業買収 ~ポーラオルビス、インバウンドと中国市場好調、今期減収予想~

2019.10.11

特集

編集部

ポーラオルビスホールディングスの2018年12月期は、訪日観光客のインバウンド消費が年間を通じて堅調に推移するとともに、海外化粧品市場が中国を中心に堅調に推移したことなどを要因に増収となった。特に、2017年からスタートした4ヶ年中期経営計画(2017年から2020年)に基づき、国内のさらなる収益性向上と海外事業での黒字化、次世代の成長ブランド創出を達成すべく取り組みを進めた結果、売上高は前年同期比1.7%増の2485億74百万円となった。
この中で、化粧品事業を展開するビューティケア事業については、基幹ブランド「POLA」「ORBIS」に加えて、育成ブランドの「THREE」「DECENCIA」や新たに「Amplitude」「ITRIM」「FIVEISM×THREE」の展開を図った。

POLAブランドでは、ブランド認知向上を足がかりにさらなる事業基盤を強化し、ブランド価値向上を進めるべく高機能商品の投入及び育成、戦略的な店舗網の拡大に取り組んだ。
国内市場においては、日本で初めて承認されたシワを改善する薬用化粧品「リンクルショットメディカルセラム」を2018年1月に価格改定し、顧客総数の増加とその他商品とのクロスセルに繋がった。また、2018年10月には、ポーラ最高峰シリーズ「B.A」初の「印象ゾーンケア」を誕生させ市場投入した。

海外市場においては、「リンクルショットメディカルセラム」を同年6月に香港、台湾で販売したのに続き、9月にタイでも販売した。また、中国では、本格エステサービスを開始し、アジア圏での更なるブランド価値拡大により、全体として好調に売上を達成した。以上の結果、POLAブランドは前年同期を上回る売上高・営業利益となった。
ORBISブランドでは、高収益事業へと再成長を遂げるため、ブランド差別性の創出や一貫した市場発信による存在感の向上に取り組んだ。

国内市場においては、主力商品を中心としたプロモーションを強化。2018年10月には、新たなブランドメッセージを掲げ、全面刷新したエイジングスキンケア「オルビスユー」シリーズの発売を開始した。ORBISブランドとしての新たな姿勢を打ち出し、積極的な施策を行ったことにより、新規顧客の獲得に貢献した。しかし、全体の売上を押し上げるには、至らず前年同期を下回る売上高となった。また、海外市場においては、中国市場での成長トレンドを維持している。
以上の結果、ORBISブランドの売上高は、前年同期を下回ったが営業利益は、費用効率が向上したことにより、前年同期を上回った。

海外ブランドについては、長期的な成長を支えるためのブランドビジネスに根差した販売モデルへの転換を目指したが、中国市場や豪州市場での売上が伸び悩み、前年同期を下回る結果となった。また、育成ブランドについては、THREEブランドやDECENCIAブランドの好調により、前年同期を上回る売上高を実現した。

以上の結果、2018年12月期のビューティケア事業売上高は、前期比1.8%増の2312億07百万円となった。なお、今期(2019年12月期)の売上高見通しは、前期比3%減の2410億円を見込む。

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