化粧品ECの現状と課題⑨化粧品ECの現状と課題 ~DHC、ライブ配信で商品の映像効果と販売増狙う~

2019.12.23

特集

編集部

株式会社DHC(東京都港区)は、これまで通信販売を主体に成長してきた企業として知られる。1983年から基礎化粧品の通信販売を開始した同社は、天然成分100%の美容液「DHCオリーブバージンオイル」と、同オイルを主成分とした「DHC薬用ディープクレンジングオイル」の爆発的ヒットにより、90年代半ばに化粧品メーカーとしての確固たる地位を築いた。
以来、通販に加えてコンビニやドラッグストア、大手スーパー等に販売チャネルを拡大するなど一大販売網を構築した。

こうした中で、ECの取り組みとして2014年9月にECサイトでの販売を促進するため、美容・健康情報サイト「オリーブチャンネル」を開設した。
同チャンネルは、直接的に商品の販売を目的にしていない。美容や健康に関する情報を日々発信することで、DHCブランドのファンを獲得し合わせてテレビや電車広告などマス広告で関心を持ったユーザーを囲い込む戦略。
同チャンネルでは、化粧品や健康食品等に含まれる成分の効能・効果や研究成果を紹介。また、工場の生産状況や研究施設の動向などもわかりやすく解説して紹介。最近では、著名人のインタビューを盛り込んだ季節ごとの特集やお悩み掲示板、診断コンテンツ、健康レシピなどのコンテンツを用意するなど情報の充実を図っている。

この情報サイトに加えて同社は、2018年9月からインターネットの生放送番組でECのライブショッピング「DHC ライブチャンネル」の配信をスタートさせた。
同チャネルは、ショッピングとバラエティを組み合わせたもの。視聴者とリアルタイムでコミュニケーションをとりながら同社の商品を映像で伝えることで、販売に繋げる狙い。
配信は、DHCオンラインショップの特設ページで行われ、DHC公式ツイッターや公式ユーチューブからもみることができる。DHCライブの#(ハッシュタグ)をつけてツイートすれば番組内で投稿が紹介される場合もある。この双方向型コミュニケーションサイトが、どの程度、認知されて新規顧客獲得に繋がるのか、注目点だ。

Eコマースは、広告との相乗効果も生まれ、検索エンジンの最適化を意味するSEO(Search Engine Optimization)がより多く露出されるなど広告の効果が上がるとさらにSEOの効果も上がる「正のスパイラル」が生まれやすい。
そのためには、Eコマースシステムの一貫性・検索等の三位一体の取り組みが極めて重要視される。

ともあれ、全体の動きとしてEC取引が拡大する潮流は否定しない。しかし、競争が激化する中で同社のECサイトによるショップがどの程度認知され、その結果として販売に結び付くか、今後の展開が注目される。

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