【連載】この中小化粧品会社に注目③天真堂 ~化粧品の開発技術「TEN―DDS」の特許を取得~

2020.08.3

特集

編集部

薬用化粧品のOEM受託製造事業を中軸に通販・EC(電子商取引)の総合支援事業を展開する株式会社天真堂(東京都江東区)は、化粧品の開発技術である経皮吸収システム「TEN―DDS(テンディ―ディーエス)」を開発し特許を取得(2018年4月)した。
TEN―DDSは、水溶性の有効成分などを高速浸透させる技術。同社が経皮吸収システムを開発するうえで技術のブレークスルー(深度)を行って点は、医薬部外品の有効成分が表皮で作用する成分が多数を占めることから、いかに角層を透過させるか、が大きな技術課題となった。
そこで、TEN-DDSについて経皮吸収促進剤としての分配性や拡散性が向上する設計を採用。
その構成要因に必要なものは①水溶性の有効成分②ジカルボン酸(ポリオキシアルキルエーテル)エステル③ポリグリセリン脂肪酸エステルの3つ。
これらの両親媒性物質のIOB値(角層との親和性)やオクタノール・水分配係数(透過しやすい経皮吸収指数)を考慮して設計した。

こうして設計したTEN-DDSの効果を実証するため、経皮吸収を量る為に3D培養皮膚モデルを用いて経皮吸収(透過)量を測定した。
グラフの培養皮膚モデル実験においてローション中のAA2Gの透過率を調べたところ、通常のローション(AA2G)が40%なのに対し、TEN-DDSは100%台と透過率の速さ、量とも優れていることが確認できた。また、グリチルレチン酸ジカリウム(GK2)を指標とした育毛剤の評価についても同様に高いことも確認している。
これらの実証試験の結果から、TEN-DDS技術を用いた製品について同社は「3D培養皮膚モデルで高い透過性を示すことが実証された」としている。

こうしたTEN-DDSの技術を使って同社は、これまで薬用化粧品のストック処方「ソヴールシリーズ」(SV)として薬用ローション、美容液、育毛剤などの医薬部外品約8品目程度を開発・商品化した。
同社では、特許技術TEN-DDSについて、OEMユーザー(クライアント)に対し、技術の優秀性を訴求・提案しながらOEM受注の拡大に繋げるなど強力な武器として活用している。

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