【連載】この中小化粧品会社に注目④パルセイユ(上) ~農商工連携で赤ジソ原料のスキンケア開発~
2020.08.6
編集部
パルセイユ株式会社(福岡県芦屋町)は地元の赤ジソ農業者や商工会など農商工連携に拠る共同で赤ジソを原料としたナチュラルコスメ「シジュ―ズ」(写真)を開発した。
「シズ―ジュ」は、強い防腐力と制菌作用を持つ赤ジソエキスと精油を配合したエイジングケア用スキンケア。赤ジソを原料にした化粧品開発を発案し地元で赤ジソを栽培する農家と商工事業者とタックル(農商工連携)を組んで開発に取り組んだ。
開発にあたって原料へのこだわりとして植物の種や皮に含まれる成分を多く使用し、農薬を使わずに育てた赤紫蘇(ジソ)エキスと精油を配合。特に、赤紫蘇の強力な抗酸化作用を肌に届けるため、無農薬の赤紫蘇を独自の製法「低温真空抽出法」を駆使した。
同抽出法は、赤紫蘇をまるごと釜の中に入れ、低温真空でエキスを取り出す。水や熱を加えないので、植物本来の有効成分を凝縮したエキスのみ取り出すことができる。また、赤ジソは、香りの成分が濃厚なことから、植物の芳醇な香りをそのまま製品に活かした。さらに、植物がもつ有効成分のビタミンやポリフェノール、カロテノイド、酵素等が壊れないようにするため、熱を加えず5トンの圧力で時間をかけて圧搾するコールドプレス製法を採用するなどしてナチュラルスキンケアの開発(2014年10月)を実現した。
農商工連携事業は、経済産業省と農林水産省の共管事業で、地方の地場産品を使って地元の農業、商工事業者等が共同で新商品を開発するに当たって事業計画を審査して補助金を交付するもの。
同社が「シズ―ジュ」の開発(現在、商品化した品目数は約16品目)を含めてこれまで商品化した自社ブランド化粧品は、防腐剤などを含まない無添加コスメ「アンナトゥモール」(現在の品目数は、トリートメントなど約32品目)や天然由来のナチュラルコスメ「パルセイユ」(同、石鹸など約69品目)、植物の香りが漂う「ボンヌブランツ」(同、ミストやシャンプーなど約41品目)、毛髪剤「スウィ―ツソーバー」(同、ヘアコンディショナーなど約33品目)、など5ブランド約191品目に上る。
現在の販売ルートは、ネット通販と地元芦屋に開設した直営店「パルナチュレ」、それに東急ハンズ名古屋店など全国12の取扱店で販売している。「ナチュラルだけどしっかり泡立つ」「ツッパリやベタベタしない」などナチュラルコスメに対するユーザーからの評価は高い。
同社は、地産地消、地方創生をモットーに2005年に会社を設立した。4年前の2001年には製造を目的に設立した美容薬理とグループを形成。2会社の代表には、金井誠一氏が就いている。