【連載】この中小化粧品会社に注目㉟エトヴォス(上)~投資ファンドのLCAが買収し傘下に~

2021.01.28

特集

編集部

天然鉱物原料を配合して作るミネラルコスメのメーカー「株式会社エトヴォス」(大阪府大阪市、尾川ひふみ代表、設立2007年5月)は、ファッション・レザーグッズ、時計・宝飾、化粧品、酒など60以上のブランドを持つ世界屈指のコングロマリット「モエヘネシー・ルイヴィトン株式会社」(LVMH)系列の投資ファンド会社「Ⅼキャタルトン・アジア」(LCA)が投資(2020年4月)を行い、傘下に入った。
LCAがエトヴォスの第三者割当増資(新たに発行した株式を特定の第三者=法人・個人に引き受けてもらうことで、資金を調達する方法)を引き受けるとともに、尾川ひふみ代表個人が保有する株式の一部を譲受するなどして株式の過半数を取得した。取得額は、非公開。Lキャタルトンが日本の中小化粧品会社「エトヴォス」に投資し買収したのは、初のケース。

エトヴォスとLCA の両社は、第三者割当増資に伴い資金面と事業面でパートナーシップ契約を締結している。先行き、モエヘネシー・ルイヴィトンとLCA は、連携しながらエトヴォスの店舗数の拡大や顧客サービスの向上、商品開発、アジアを中心とした海外進出等を支援し成長につなげていく計画。また、LCAは、エトヴォスの経営体制の強化を図るため、モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン・ジャパンのノルベール・ルレ代表取締役社長ら2人が社外取締役に就任した。
エドヴォスが第3者割当増資に踏み切ったのは、新たな成長に向けて踏み出すためには「資金調達と事業の両面で良きパートナーを確保することが重要」と判断したため。

一方、1987年創業のLVMH(モエヘネシー・ルイヴィトン)は、フランスを本拠地とするラグジュアリー商品に特化した企業。ルイ・ヴィトンやクリスチャン・ディオールなど世界的に有名な企業を抱え、ファッションだけにとどまらずフレグランスやコスメも主要事業と位置付けて欧米中心に買収を行っている。
その中で、系列投資ファンドのLCA がエドヴォスに投資したのは、肌へのやさしさを追求した高品質な商品群の提供を通じてコスメ業界で差別化したブランドポジションを築いていること。また、新規事業を拡大してさらなる成長を目指していることに着目して投資をおこなった。

ところで、LCAの投資姿勢は、未公開企業の株を取得し、同時にその企業の経営に深く関与して企業価値を高めた後に売却するプライベート・エクイティ・ファンドではない。また、投資先企業を簡単に売却(バイアウト)または取得した企業の株式を売却して利益を手にするイグジットを第一の目標に掲げて投資や出資は行わない。
基本的な投資スタンスは、特定の専門分野において卓越したクオリティや文化があり、その価値を世界的に見出されていないグッドブランドを発掘することで、よりよいブランディングを推進し企業価値を高めていくことを狙いとして投資を行う。LCA は、2018年に国内で眼鏡チェーンを展開するオンデーズに投資しているがコスメ企業への投資は、エトヴォスが初。

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