【連載】この中小化粧品会社に注目㊽リアル(上)~世界でもまれな米ヌカ化粧品を開発~

2021.03.29

特集

編集部

株式会社リアル(兵庫県神戸市、社長 久保尚子氏)は、米ヌカにこだわった化粧品を開発から製造まで一貫生産する老舗の自然派化粧品メ―カー。1894年(明治27年)に「美人ヌカ本舗」として創業、1970年4月に法人化した。

同社は、世界の化粧品業界でもまれな米ヌカ化粧品づくりのために、その原料となる米づくりをはじめ、米ヌカ成分や酵素・酵母をとり入れた「スキンケアシリーズ」や香料、着色料、防腐剤などを一切含まない無添加化粧品等を製造・販売している。
米と米ヌカを見つめ続けて約122年。よりよい米ヌカ化粧品づくりのために、その原料となる米づくりにもこだわり、広島の有機農法水田「田辺ファーム」と契約して「紫黒米や赤米を栽培しそれらのエキス」を抽出している。また、兵庫県豊岡市周辺の「コウノトリ育む農法」で作った化学肥料や農薬を極力用いない米を原料とした「米ヌカエキス」を抽出して化粧品に配合している。

同社の本社工場での化粧品生産は、最適な原料選択から始まり全ての製造工程において「安全」で「安心」な製品づくりのため、徹底した品質管理を実施。また、OEMの小ロットカスタマイズ商品も受託生産している。

同社の事業における特徴の一つとして米ぬかの研究開発に力を入れてきたことにある。米ぬかの持つ様々な有用性についての共同研究の代表的な取り組みは、近畿大学との共同研究において2004年第43回日本油化学会年大会で「黒米糠抽出物の抗変異原性」についての論文がエディター賞を受賞した。
兵庫医科大学とは米ヌカ共同研究ついて、2006年度109回小児科学会で「アトピー性皮膚炎児のスキンケアにおける米由来天然セラミド配合クリームの有用性」について発表した。

こうした学会での発表に社員約70名、売上高約10億円と見込まれる小規模会社が取り組んだ研究開発に、誰しもが一様に驚きを隠せなかった。
学術活動も活発で「日本古代稲研究会 第22回シンポジウム新居浜大会で講演、第130回日本穀物科学学会で講演している。また、米ヌカ成分の特許を取得している。

しかし、ここへきて共同研究や学術論文等の動きは、一時ほどの活発さは見られない。先行き、米ヌカを応用した新製品や新技術の開発に期待したい。それが同社のさらなる発展につながることによる。

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