【連載】化粧品各社のイノベーション研究河野メリクロン ~洋ラン抽出エキス配合の薬用育毛剤開発・販売~

2021.08.12

特集

編集部

河野メリクロン(徳島県美馬市)は、洋ラン(シンビジウム)の品種改良・種苗生産からスタートした会社。創業は、1965年。現在、洋ランの販売会社や中国現地法人等を含めてグループを形成。グループの売上高は、洋ランの販売を主体に約85憶円、グループ総人員約200名。

事業の特性は、洋ランの研究・販売と合わせて洋ランのエキスを配合した薬用育毛剤の開発と特許取得、毛髪診断士のスキームを持つ社員が顧客対応するなど毛髪事業に力を入れているのが特徴。

洋ランの研究は、シンビジウム全草、特に根と葉の成分研究に力を入れている。この研究では、洋ランの一種マリーローランサンの葉の中に「サポニン」が多く含まれこれまでに9種類の新規の「サポニン」を発見し、サポニンの取り出しに成功した。

「サポニン」は、水と油に溶ける性質があり、このような特性を生かしてマリーローランサンの葉を使った石鹸や青汁等を開発した。また、シンピジュームのエキスを主成分とした薬用育毛剤「蘭夢」(写真)の開発は同社を化粧品分野に誘うトリガーとなった。

2003年にシンピジュームのエキスを主成分とした「蘭夢」を商品化したのを皮切りに2014年に、シンピジュームに全草エキスを配合した「蘭夢黄金率」、2018年7月に全草エキスに葛根エキス、タケノコエキス等を追加配合した「蘭夢黄金律プラス」を商品化して通販市場に投入・販売した。

通販市場での育毛剤販売に加えて洋ランの販売店舗として1991 年に美馬市内にオープンした「餡蜜館」(写真)でも育毛剤を店頭販売している。餡蜜館は2009 年に開設した「蘭夢美術館」と並んで美馬市の観光施設となっている。

さらに、育毛剤の販売増加につなげるためコールセンタースタッフが「毛髪診断士」の資格を保持していることもユニークな点といえる。

「毛髪診断士」は、毛髪に関する知識と顕微鏡などを使って毛髪の状態を的確に観察する技術を習得した者に授与する業界認定証。

同社は、顧客から問い合わせがあった際、コールセンターの毛髪診断士資格者が毛髪についての悩みを持つ人の相談を受けて適切な髪の手入れ方法などをアドバイスしている。

同社では「業界団体が行う毛髪診断士の研修やセミナー等に社員を引き続き、参加させて能力向上に努めていく方針」としている。

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