連載・新興市場上場の美容業界各社の経営・事業動向に迫る【8】ハーバー研究所が新たにOEM事業強化、中長期売上高200億円乗せ狙う
2014.10.28
編集部
「無添加主義」を経営理念とする株式会社ハーバー研究所(東京都千代田区:ジャスダック上場)は、化粧品と栄養食品の2事業を中心にして製造販売子会社のハーバー株式会社(北海道苫小牧市)、男の美学株式会社(東京都千代田区)、株式会社HプラスBライフサイエンス(東京都千代田区)、株式会社ノースジェニシス(北海道苫小牧市)の4社と製造販売物流子会社ハーバーコスメティクス株式会社(千葉県香取郡)の計5社でグループを形成。現在、連結ベースで、総売上高200億円を目標とした中長期経営計画(3年~5年)を推進中。中でも、OEM専門部隊を社内に設置。また、子会社HプラスBライフサイエンスを化粧品OEM(相手商標ブランド生産)の生産拠点に位置付けてOEMの受注拡大に繋げる。上場化粧品メーカーがOEM事業を強化する動きとして注目される。
同計画の戦略として研究開発では生命科学研究所を中心に、サメの肝油から抽出した化粧原料「スクワラン」(純度99.9%)を使った新製品開発に取り組む。同時に、大学の研究機関と共同で、スクワランに代わる新原材料の探索技術、タンパク質が糖化し変性することを防止する抗糖化の応用技術、ビタミンC誘導体を薄い膜で包み安定化させる技術などの研究に取り組み、新しい技術、素材を開発して化粧品、食品などへ応用を図り高機能商品を開発する。具体的には、病気を患っている患者でも美味しく食べられる食品や生活習慣病、抗齢化などに対応した素材処方のサプリメントを開発中。また、今年度中にも新規育毛剤を市場に投入する方針。
製造面では、スキンケア製品の製造会社ハーバーにおいて、(1)生産体制の効率化によるコストダウンを継続して進める(2)ノースジェニシスの食品工場において食品、栄養補助食品の自社生産への本格的な取り組みを開始(3)HプラスBライフサイエンスの化粧品工場をOEM受託製造拠点とし、稼働率を引上げる計画。
マーケティング戦略では、(1)メディアや企業などとのタイアップによる美容講座を実施し、クレンジング化粧水の使い方など美容液の普及を図り新規顧客の獲得、顧客の固定化に繋げる(2)インターネット通販では、スキルの高い専門家の採用による人的強化と合せてウエブサイトやスマートフォンサイトのデザイン改良を進める(3)三重県松阪市にコールセンターを開設、通信販売受注体制の拡充を図る。
卸売り事業については、ハーバーブランドの認知度向上とともにHプラスBライフサイエンスによる新規食品商材と男の美学による男性用化粧品の販路獲得、流通チャネルへの導入促進を積極的に進める。また、グループの商品開発力と製造技術力を戦略的に活用し、化粧品や食品の共同開発商品、PB商品やOEM事業の攻勢を強める。さらに、海外事業については、アジア市場への深耕を進めるとともに、新たな地域、市場の開拓を推進して行く方針。
特に、中長期経営戦略にもとづき専門部隊のOEM提携部を設置、HプラスBライフサイエンスと連携を図ってOEM事業を強化する。
同社は、2011年6月にバイオ企業林原グループからHプラスBライフサイエンスの株式を買い取り傘下に収めた。現在、HプラスBライフサイエンスは、全国7エリアに営業網を敷き化粧品、育毛剤、サプリメント、甘味料などをハーバー研究所の通販、直営ショップなどで販売するとともに百貨店、薬局向けに卸販売している。子会社化して3年を経過し、組織体制が整ったことから専門部隊と連携を図りながら新たな収益確保としてOEMを強化することにした。OEMの強化や高機能製品の市場投入などによって3年から5年後に売上高を今期(2015年3月期)計画比約60億円増の200億円に持って行く方針。
同社の今期(2015年3月期業績・連結)見通しは、売上高141億(前期比2.3%増)営業利益12億8,000万円(同2.1%増)、最終利益7億3,000万円(同20.3%減)と増収減益を見込む。なお、前期(2014年3月期)の主力商品「薬用ホワイトレディ」(美容液=写真)を中心とした基礎化粧品とメイクアップ化粧品を合わせた売上は、約93億円に上る。また、販売別売上は、直販89億1,900万円、百貨店卸12億6,200万円、直営店販売8憶4,200万円、その他卸売26億8,300万円となっている。
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