連載・異業種から化粧品分野に新規参入した上場各社の化粧品事業に迫る【12】三菱鉛筆、筆記具技術を化粧ペン、容器等に応用、OEM事業参入(上)
2015.02.2
編集部
筆記具メーカーの三菱鉛筆は、1985年に化粧品のOEM(相手先ブランド製造)事業を行う子会社ユニコスモを設立し、化粧品事業に本格参入した。
化粧品参入の契機となったのは、米化粧品メーカーから「筆ペンの機構をネイルに応用できないか」と引き合いを受けたのが始まり。また、昭和60年当時、同社の主力を成していた鉛筆事業が先行き人口の減少、消費の減退予想で成長が期待できないとの判断に立ったことも化粧品への新規参入に走らせた。
以降、サインペン、ボールペン、シャープペンシルなど筆記具で培った機構設計技術をベースにシール性、かん合性に優れたペンタイプの容器をはじめアイライン、アイブロウ、ネイル、リップ、毛染めなどの化粧ペン(筆、ペンタイプの完成化粧品=写真)やインク製造技術を応用してカラーバリエーション化を図った化粧液(内容液=バルク)などを相次いで開発・実用化した。
同社が開発したアイライナーのタイプ別機構(機構図)は、直液、中綿、回転式の3機構あり液の出方、液の種類などにそれぞれの特徴がある。表にアイライナータイプ別の特徴を示す。
回転方式は、液状口紅・ファンデーションなどが主たる用途で、後端部のダイヤルを回転させることにより、一定量の液を吐出するもの。
バルブ方式は、ファンデーション、マニキュアなどが主な用途で、後端部をノックすることで、適量の液を吐出する。
中綿方式は、アイライナー、ネイルコンディショナーなどが主な用途で、キャップを外すだけですぐに塗布でき、低粘度の内容液に適している。このほか、アイライナーやコンシーラー、リップグロス用の容器で、直接、液を容器に充填し、容器本体を回転させることで、ピストンを上昇させて液を吐出する機構の回転繰り出し式容器や本体をノックさせることで、バルブを開放し、液を吐出する機構のネイル用の容器(塗布部分のアプリケーターが角型のペン芯、チジレブラシなど)、化粧鉛筆などもある。
同社では「マニキュアペン・口紅を始めとするメイク関連商品や白髪染めなどのヘアカラー商品及び専用の機構を採用した容器を合わせた総アイテム数は現在、数100種類に上る」という。
製品の品目は、大きく分けてアイライナーなどの完成品と容器に分けられるが、容器の機構、液の種類、液の吐出・流量などによってアイテムは天文学的数値になる。筆記具で培った技術を化粧領域に応用して製品開発を行うなどアイテムの多さは、まさに化粧ペン、化粧容器の総合デパートといえる。
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