連載・異業種から化粧品分野に新規参入した上場各社の化粧品事業に迫る【16】日華化学、2016年12月期化粧品売上100億円大台乗せ(上)
2015.03.30
編集部
日華化学(名証2部)は、界面活性剤・高分子を中心とするサーフェスサイエンス(界面科学)と 毛髪科学を中心とするライフサイエンスを基盤に化学品と化粧品の2事業を主軸に事業を展開。主軸のヘアケア、ヘアカラー、パーマ、スタイリング剤など毛髪化粧事業の起源は、1981年9月に化粧品専門部隊のデミコスメティクス化粧品事業部を社内に設置し、同社の界面科学のノウハウをベースに繊維メーカー向け薬剤開発で培った「洗う」「滑りをよくする」「染める」などの技術を応用する一方、同年、仏ジャン・モレル研究所との間で天然複合アミノ酸(L・P・P=毛髪保護成分)に関する技術提携を行って開発した毛髪化粧品「デミヘアケアシリーズ」を1982年に美容サロン向けに販売したのが始まり。
以来、1996年に企業内の事業部門を独立採算制で一つの会社のように位置付けて運営する社内カンパニー制を導入して同化粧品事業部を「デミコスメティクスカンパニー」に改称。
現在、同カンパニーを中軸とした毛髪化粧品事業の社内態勢(組織図)は、経営企画部、ブランド統括部、デミ営業部などの専門部隊を組織化。同時に、1995年に買収して傘下に収めた山田製薬(通販限定スキンケア販売と0EM生産担当)と2010年5月に設立した子会社イーラル(髪と頭皮のエイジング化粧品イーラル販売とイーラル使用のヘッドマッサージ事業)の2子会社(連結対象)と連携を図りながらビジネスを推進。また、毛髪化粧品の生産は、大容量・大ロット品を福井本社工場、小容量・小ロット品を山田製薬霞ヶ浦工場(茨城県)で行う態勢を敷いている。
さらに 同カンパニーと密接な連携を図ってマーケットインに根差した先進的な毛髪化粧品を生み出しているのが毛髪科学研究所(1984年設立)である。
現在、同研究所は、素材や基盤技術を研究開発する素材研究グループと商品の開発・設計を行う商品開発グループの2グループがあり総勢24名態勢で毛髪・皮膚科学に基づく先端研究を進めている。
知的所有権の確立にも意欲的だ。最近では、毛髪と脂肪酸の研究成果やフトモモ科チョウジのつぼみから抽出する「チョウジエキス」とシソ科ローズマリーの葉から抽出する「ローズマリーエキスが抜け毛の抑制に効果を発揮することを突き止め、特許を出願した。これまで毛髪化粧品関連で取得した特許は9件、公開が38件にのぼる。
こうした中で、化粧品事業の業績は、すこぶる好調だ。前期(2014年12月期)で化粧品の売上高は、80億円に達した。
今期(2015年12月期)は、美容サロン向け新商品の拡販(卸販売)や美容サロンが顧客向けに店頭販売する専売品(シャンプーやトリートメントなど)の販売が引き続き奏功する見通しで、95億円の売上を計画。同カンパニー単独では、70億円の売上を見込んでいる。
同社では「化粧品事業の多角化と多国籍化をさらに進め、中期事業に盛り込んだ2016年12月期100億円の大台乗せを狙う」と強調。今後とも同社の毛髪化粧品事業は、目が離せない局面が続きそうだ。
- お問い合わせ
-
別窓のリンク