肥満者の血漿GDF15濃度は一過性運動に反応
2022.12.26
国際部
過体重または肥満者における血漿GDF15濃度および食欲および心血管代謝の健康との関連に対する一過性運動の影響を検討した無作為対照試験の二次分析結果が12月21日、「Appetite」オンラインに掲載された。
成長分化因子15(GDF15)は、食欲の制御に関与していると考えられている。一過性運動(acute exercise)は、やせた人のGDF15濃度を増加させることがわかっているため、今回の研究では過体重/肥満者のGDF15に対する一過性運動、および食欲と心血管代謝マーカーとの関連を検討した。過体重/肥満者で運動不足の90人(20~45歳)を対象に6か月間の試験を実施。習慣的なライフスタイル(16人)、中等度の運動(37人)、高強度運動(37人)のグループに無作為化して比較した。ベースライン、3か月、および6か月時に血漿中のGDF15濃度、その他の代謝マーカー、および主観的食欲を評価。また、心肺機能、体組成、インスリン感受性、腹腔内脂肪組織を測定した。
その結果、ベースラインでは、GDF15は一過性運動の直後に18%増加し、運動の60分後に32%増加した。空腹時のGDF15は、3か月時に高強度運動で21%増加が見られたが、6か月時には減少した。中等度の運動では変化は見られなかった。運動後のGDF15は、中等度の運動および高強度運動で変化は見られなかった。GDF15と食欲やエネルギー摂取量には関連は確認されなかった。GDF15濃度が高いほど、心肺機能の低下、中枢性肥満、脂質異常症、および血糖コントロールの低下と関連が大きかった。結論として、GDF15は一過性運動に反応して増加したが、運動トレーニングの影響は受けないことがわかった。高いGDF15濃度は、心臓代謝プロファイルがあまり好ましくないことと関連していたが、食欲のマーカーとは関連していなかった。GDF15は一過性運動にのみ反応することが分かったが、これが自由生活下のエネルギー摂取量と体重管理に影響を与えるかどうかは調査が必要と示唆された。