【連載】幹細胞化粧品開発元年【10】リーブ21、ヘアサイクルにおける毛髪形成・伸長のメカニズム解明(上)

2015.10.21

特集

編集部

株式会社髪クリニックリーブ21(大阪府大阪市、リーブ21)は、全国の主要大学と毛髪や発毛システムに関する産学共同研究を促進する中で、京大と共同研究で取り組んだ髪の成分に関する毛包細胞のメカニズム解明に成功。また、神戸医療産業都市(神戸ポートアイランド)に開設(2009年7月)した「リ―ブ21研究所」で、毛髪形成を自在に制御する技術の開発に継続して取り組むなど毛髪研究に拍車をかけている。

同社は、2004年10月に毛髪や発毛システムについて産学共同による研究を促進することを決定。その中で、2004年10月から大阪・彩都のライフサイエンスパーク内(茨木市)の自社研究所で「毛包組織の構築制御」をテーマに掲げて京大と共同で、毛包幹細胞を制御する調節因子についての研究に取り組んだ。

研究の目的は、毛幹を取り囲む「内毛根鞘」組織(毛包組織の一部)の分子メカニズムを解明することで、ヘアサイクルにおける毛包形成を解明するもの。
これまでダイナミックに変化する内毛根鞘という組織の形態形成における分子メカニズムの解析は、ほとんど行われていなかった。

そこで同社は、この内毛根鞘の構成成分で「ケラチン」(細胞骨格たんぱく質)を集合させる機能を持つマウスのたんぱく質「AHF」に着目し、研究を行った。
研究の結果は、毛髪の伸長期間に毛乳頭が分泌する「BMP4」(成長因子の一種)のシグナルを「ケラチノサイト」(表皮を構成する角化細胞)が受けとることによってマウスのタンパク質「AHF」が増加。しかし、脱毛期間に入ると酵母からヒトにいたるまで真核細胞(細胞の1種)に普遍的に存在する小さなタンパク質「ユビキチン」は、標的タンパク質を分解するように働きかけることで、「AHF」タンパク質が素早く分解されることを発見した。また、この分解をラミンC(細胞核膜成分のタンパク質の一種)が制御していることも同時に究明した。
こうした研究により内毛根鞘の構成成分であるタンパク質は、ヘアサイクルのステージごとに様々な分子制御を受けていることが明らかになるなどヘアサイクルにおける毛髪の形成及び伸長のメカニズム解明の手がかりをつけた。

リ―ブ21研究所、神戸ポートアイランド_(2)これら彩都での発毛に関する基礎研究を踏まえて神戸医療産業都市(神戸ポートアイランド)に開設した「リ―ブ21研究所」(写真)では、毛包分化の基礎研究および新規発毛促進物質の探索研究などに取り組んでいる。特に、毛髪形成を人為的に制御する技術開発に力を入れている。最先端の再生医療研究、幹細胞研究等の知見を取り入れながら、新規発毛促進物質の探索とあわせて毛包分化の基礎研究と次世代の発毛技術の開発を目指す。
同社は、引き続き、産学共同研究を通じて発毛の基礎・応用研究を続け脱毛の根本的な解決を目指して行く。

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