【連載】化粧品各社のイノベーション研究【8】シーボン② ~女性が会社成長の原動力として活躍~
2016.01.14
編集部
株式会社シーボンの大きな特徴は、研究開発、製造、販売など全ての領域で女性スタッフが活躍していることだ。女性だからこそ分かる肌の悩み、使ってみての感想、化粧品に対する要望など、女性の感性が化粧品づくりにフルに活かされている。
同社の社員数は、2015年9月末現在で1197名(パート含まず)。この内、女性社員の比率は93.5%(2015年3月末)を占め、管理職や役員に至るまで幅広く女性の登用が行われている。営業を含めた管理職に占める女性管理職の割合は、85.3%(同)、現在、役員10名のうち女性役員が6名を占めるなど、まさに「女性が会社成長の原動力になっている」。
同社は、女性が輝く会社を目指して本社機能と研修施設を併設した「パビリオン」(写真)に全国からフェイシャリストを集めてカウンセラー研修、アフターリーダー研修、管理職研修など、1人あたり年2回の研修を実施。また、女性社員のキャリアプランや成果に応じた教育研修も実施している。
女性社員のワーク・ライフ・バランスを推進する上で注目されるのが、育児支援制度。産前6週間、産後8週間の「産前・産後休業制度」を始め、1歳未満の子がいる場合に取得できる「育児休業制度」、配偶者が出産した場合に最大3日間の特別休暇が取れる「配偶者出産休暇制度」、小学校に入学する年の3月31日まで、短時間勤務が可能な「育児短時間勤務制度」などが用意されている。また、出産、育児、介護などの理由で、一度退職した社員でも「即戦力」として再び活躍できる「ウェルカムバック制度」(再入社制度)を導入している。
一方、人材育成と評価制度の中で美容社員であるフェイシャリストのモチベーションを向上させるため、年齢や勤続年数に関係なく評価する「フェイシャリスト認定級」というシステムを導入している。自分が目標を設定し、目標を到達することで、評価され昇格できる仕組み。また、フェイシャリストには、それぞれの希望・適性に応じた様々なキャリアプランが用意されている。
初めて同社に訪れる顧客の接客に特化した「カウンセラー」、アフターサービスのために来店した顧客対応のリーダー「アフターリーダー」、店舗・エリアの責任者、店舗での経験を活かし、本社スタッフとして店舗をバックアップするポジションなどが用意されている。
特に、フェイシャリストの人事評価制度については、店舗の3カ月ごとの業績に応じた評価制度を採用している。店舗運営における店長の裁量を大きくすることで、フェイシャリストが活躍できるチャンスを多く創出し、モチベーションの向上と利益の公平な分配による業績の向上に繋げている。また、売上による評価だけではなく、顧客のメールアンケート結果を評価に反映させる仕組みを導入し「お客様満足度」を評価の対象に組み入れた。
本社及び工場については、等級に基づく目標管理制度を運用しており、1年に1回以上は評価面談の機会を設け、社員一人ひとりが自らを振り返りながら自己評価を実施。
同時に、上司と部下が面談を通じて互いの評価を話し合うことで、自己評価と上司評価のギャップを認識し、それぞれの改善点を明らかにしながら人材の教育や育成に役立てている。
こうした労働環境を整備・体系化して女性社員が家庭と仕事を両立しながら会社成長の原動力となって活躍していることは、人財面で注目に価する。