【連載】化粧品各社のイノベーション研究【13】オッペン化粧品③ ~オオボウシバナエキスにコラーゲン分解酵素抑制効果~

2016.02.25

特集

編集部

オッペン化粧品は、独自成分の開発と合わせて光老化の美容への影響についても研究成果を上げるなど、技術の冴えが注目される。

同社の代表的な研究成果のひとつとして、紫外線によって引き起こされる「光老化」が美容にもたらす影響について、「オオボウシバナ」花びらエキスにコラーゲン分解酵素抑制効果があることを見出した。
同社の「光老化」の美容への影響に関する研究は、実際の真皮に近い条件で光老化細胞を観察するため、長波長紫外線(UV-A) を照射した線維芽細胞(肌細胞)をコラーゲンゲル内で培養(光老化真皮モデル)する方法を採る。
08kouroukaこの試験の結果、コラーゲン分解酵素「MMP-1」(データ図)は、
①線維芽細胞しか存在しない条件でも活性化される
② 酵素活性化作用が知られているタンパク質分解酵素のひとつである「プラスミン」と「カテプシンG」が、繊維芽細胞によって産生されている
③タンパク質分解酵素の「プラスミン」と「カテプシンG」がMMP-1の活性化を行う因子の一つである
以上のことを発見した。
同研究により、従来の培養方法では観察されなかった光老化した真皮の挙動の新たなメカニズム解明に繋げた。

同研究で用いた光老化真皮モデルは、細胞単体の挙動だけでなくコラーゲンと線維芽細胞による真皮全体の挙動を観察することが可能。
この手法を用いて光老化抑制素材を探索したところ、「オオボウシバナ」の花びらエキスに光老化抑制作用を見出した。
さらに、オオボウシバナエキスの作用メカニズムを解析したところ、
① MMP-1の産生抑制
②MMP-1活性の阻害
③MMP-1活性化因子の一つであるMMP-3の産生阻害 の3点の効果があることが明らかになった。
このことから、「オオボウシバナ」花びらエキスは、光老化作用の抑制に非常に有用な効果があることをつかんだ。

最近、生理的老化に加えて、主に紫外線によって引き起こされる「光老化」の美容への影響が注目されている。
その光老化による主な要因の一つであるコラーゲン分解酵素(MMP-1)の挙動は、これまで多くの研究機関が取り組んできた主要テーマ。肌が光老化するメカニズムについて、光老化による主な要因の一つであるコラーゲン分解酵素の挙動は、長波長紫外線(UV-A)を浴びた真皮線維芽細胞によって産生されることが知られている。その活性化には、中波長紫外線(UV-B)の刺激を受けた表皮など、真皮以外の組織からの刺激が必要と考えられてきた。
一連の研究成果について、2015年9月にスイス・チューリッヒで開催された「第23回国際化粧品技術者会連盟(IFSCC)中間大会(Conference)」にてポスター発表した。また、2015 年11月には、東京・品川で開催された「第77 回日本化粧品技術者会(SCCJ)研究討論会」で、研究成果を発表している。

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