【連載】化粧品・美容関連ベンチャー企業の成長軌跡【36】レジーナローカス① ~フラーレン配合の高級化粧品を投入~
2016.12.5
編集部
レジーナローカス株式会社(愛知県豊橋市、社長 松下武史氏、2008年6月操業)は、化粧品原料「フラーレン」の需要増に期待を見いだしてフラーレン化粧品専門のベンチャー(創業2006年8月)として事業展開している。
フラーレンは、閉殻空洞状の多数の炭素原子のみで構成されるクラスター の総称。数十個の原子からなる構造を単位とする炭素の同素体で、共有結合結晶であるダイヤモンドおよびグラファイトに次ぐ第3の炭素同素体として注目を集めている。
特に、フラーレン発見以降、フラーレンの特徴として抗酸化力や抗炎症力があることがわかり、化粧品、医薬品など様々な応用に期待が高まった。しかし、フラーレンは、炭素のみで構成されているため、全く水に溶けないという性質が大きな壁となった。
そうした中で、フラーレンを化粧品の原料として製造・販売に乗り出したのが三菱商事。子会社を通じて2005年に第1弾の商品として水に溶ける水溶性フラーレン「ラジカルスポンジ」の開発に成功し、いち早く市場に投入した。
2009年には,第2弾の商品として油溶性フラーレン「リポフラーレン」を開発し販売。6年後の2015年に第3弾の商品としてパウダータイプの「ヴェールフラーレン」とリポソーム化用の「モイストフラーレン」の2原料を開発し、ラインアップに加えた。
第1号製品の発売から11年経った現在では、国内でフラーレンを配合した化粧品品目は、2000アイテムを超える状況にあるなど、年々、化粧品原料としてのフラーレン需要が伸びている。
レジーナローカスは、こうした化粧品原料のフラーレンに着目して化粧品開発に積極的に採り入れ、商品化を図った。
同社は、現在、フラーレンやビタミンC誘導体、アスタキサンチンなどを配合した自社ブランドの化粧品として、「エルジュバートシリーズ」(クレンジング、フェイスウオッシュ、クリーム等)や「LVN・ランシリーズ」(クリーム)及び男性化粧品「レジーナローカスマン」(写真=クリーム、フェイスウオッシュ、浴用美容液等)などを通販市場に投入・販売している。
いずれもフラーレンの研究をしながらベンチャー指向で開発したもので、高価格帯の高級化粧品として「本物志向」をコンセプトに「効果が実感できる商品」として販促に打って出ている。