【連載】美容漢方~漢方の新たな市場を創出~【1】聖心美容クリニック、美容漢方外来でダイエットを実現(上)

2016.12.5

特集

編集部

%e8%81%96%e5%bf%83_%e6%9d%b1%e4%ba%ac%e9%99%a2%e5%8f%97%e4%bb%98%ef%bc%89聖心美容クリニック(本院・東京都港区)では、美容の支持療法として漢方を取り入れた「美容漢方外来」を設けている。“美容の基礎には健康があり、健康の先には美容がある”との考えの基に漢方に注目し、2011年に立ち上げられた。

西洋医学的なアプローチで美を実現する方法もある中、患者が漢方も選択肢の一つとする理由は、やはり“漢方好き”“東洋医学好き”“薬膳好き”で、30代女性が多い傾向にあるという。また、ハイエイジの患者で特徴的なのは、各種の美容施術を経験済みかあるいは関心が高く、その上で漢方についても試してみたいという好奇心旺盛な人が多いようだ。

美容漢方外来は、「ダイエット」「毛髪」「術後ケア」の大きく3つの柱からなる。患者の多くはダイエット目的で来院。担当医の西田真氏(福岡院・広島院 副院長)によると、「ダイエットをしていても、かえってむくみが出たり、冷えが出たりするなど問題を抱えているケースが多い」といい、これを東洋医学的な視点から補正するサポートを行っている。

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さらに「(該当する項目への)丸の付け方にも患者の個性があって、診断のヒントになる」(西田氏)。問診票の記入が終わった後、患者は診察室に入るが、入った瞬間からすでに診察は始まっているといい、漢方独自の診断方法である“四診”の中の“問診”“望診”を十分に体現したものといえる。

診断後、処方を決定。まずは2週間ほど漢方薬を飲んで様子をみてもらう。処方は完全オーダーメイドで、患者の体質やお悩みの症状などを勘案した結果導き出される「証」に合った処方箋が出される。漢方薬というと煎じ薬のイメージもあるが、同院では持ち運びに便利で保存性も良いエキス剤を採用しているので、手軽に飲める。飲み方についても「例えば五苓散であれば水に溶いて、少しずつ舌下投与するつもりで飲む」(西田氏)ことを勧めており、煎じ薬と同様な効果を期待している。

ダイエットには漢方薬だけでなく、運動と食事も重要な要素となる。食事は糖質制限を中心に指導。ただ、運動については続けるのに根気が必要だ。そこで「運動ができないと言って、くたびれる人に対しては、まず元気づける処方から始める」(西田氏)。このほか、朝晩に体重を測って記録してもらう。大切なのは一喜一憂しないことで、週単位あるいは月単位で体重の増減をきちんと見極めること。リバウンドしない安全なダイエット方法は1日50gの減量で、これを目安にゆっくり痩せる方向に導いていく。

「そうこうしているうちに、細かく結果をみていくと、自分の心の声との向き合いが上手くいって、むくみやお通じなどの問題をはじめ、当初問診票にチェックした箇所が改善していることを実感してもらえる」(西田氏)といい、2~4週間ほどで何らかの気づきがあるという。

ただし、西田氏によると、長年の施術経験から「服用さえすれば効く“痩せ薬”は存在しない」との持論を持っており、地道な体質改善による養生指導を心掛けている。※(下)に続く

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