【連載】大手化粧品会社の研究⑥アジュバンコスメジャパンの会社研究 ~毛髪の処方開発強化、毛髪診断プロ参画で毛髪ビジネス創出狙う~(下)

2018.02.22

特集

編集部

アジュバンコスメティックジャパンは、東京都品川区に研究所を開設(2015年10月)したのに続き、毛髪診断コンソーシアムに参画するなど研究開発の強化に取り組んでいる。

研究所の開設目的は、ダイレクトマーケティングにより得られたニーズをシームレスに商品開発等に反映させるため、毛髪処方の開発などのスピードアップを図り品質・購買管理等の向上に繋げる狙い。

同社はファブレス企業で、各製品の製造は、外部の工場に委託している。委託先に支払う製造原価の中には、直接の製造費用に加えて製品の企画・処方に関する費用も含まれている。このため、処方を自社開発すれば「委託先への支払額は10%程度、削減できるようになる」という。

すでに、毛髪製品から処方開発をスタートさせており、サンプル品を製造して独自処方製品の製造販売を開始する予定。今後、ヘアケアに加えてスキンケアへと処方開発の対象を順次、拡大する計画。なお、研究・開発は、同社の子会社アジュバンコスメティック(連結子会社)が担当している。

こうした研究所でのヘアケア商品の処方開発強化を背景に毛髪ビジネスに繋げることを狙いに毛髪診断コンソーシアムに参画した。

同コンソーシアムは、理研を中軸にアジュバンコスメティックジャパンとアジュバンコスメティック、アデランス、京セラなど毛髪ビジネス強化に取り組む18社が参画して2017年12月から共同研究をスタートしている。

同コンソーシアムは、6つのコンソーシアムで構成し、毛髪を対象として毛髪の形態変化の測定によるヘアケアや毛髪組成の解析による健康指標、疾患を早期に検出するようなマーカー物質を特定するため、毛髪の解析データをもとにビッグデータを構築する。さらに、毛髪の根元からの位置を任意に選択することにより、健康指標の変動や疾患の発症前後のデータを的確に取得すると共に、その改善に向けた取り組みによって個々人の状態変化の検証を行う。毛髪を用いた健康指標の活用により、科学的エビデンスに基づく健康の維持や未病に繋がる問題解決を提供する。

同コンソーシアムにおいてアジュバンコスメジャパンは、生体を傷つけない非侵襲型診断システム確立のための共同研究を担当。また、アジュバンコスメティックは、データ構築のための解析を担当する。

同社がコンソーシアムに参加した背景には、研究所での毛髪処方開発を強化することと合わせて新規毛髪ビジネスを創出するのが狙い。

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