【連載】大手化粧品会社の研究⑫ちふれ化粧品の会社研究 ~皮膚の光老化研究を推進、肌科学と化粧品について理科大とコラボ~(下)

2018.03.22

特集

編集部

ちふれ化粧品は、これまでプロジェクトごとに行なってきた薬事申請や管理全般の業務を一括して担当する「開発管理課」を設置するなど、総合研究所を中心とした研究開発部門の強化を図っている。
開発管理課の具体的な業務は
➀薬事申請業務
②薬事法に基づく表示規制の管理業務
③安全性基準の管理
④自社技術管理業務
⑤輸出申請業務
⑥成分表の発行など。
研究開発部門や購買部、品質保証部門、生産部及び原料メーカーなどと連携を取りながら、業務を遂行する。

綜合研究所の安全性、有効性試験など信頼性試験は目を見張るものがある。同研究所では、処方の設計開発と最終製品の両段階で安全性・安定性・有効性(機能性)試験を実施。
安全性試験はパッチテスト・連用試験を必ず実施しており、温度条件を段階毎に6ヵ月以上の確認を行っている。機能性試験では、商品のコンセプトや目的とする機能を満たしているか項目ごとに評価。さらに、持ち歩きをする頻度の高いメーキャップ商品の場合、商品の種類ごとに耐衝撃性基準を設定し、実使用を想定した試験を実施するなど商品の耐久性を確認して商品開発をおこなっている。

同研究所での研究成果として皮膚の光老化研究が注目される。同研究所は、日本薬学会第135年会(2015年3月)において、以前より研究を進めてきた「皮膚の光老化に対するリンゴポリフェノールの作用」についてその研究成果を明らかにした。
研究成果は、人間の皮膚は、紫外線に繰り返しさらされることによって真皮結合組織に変化が起こり、光老化皮膚が形成される。同社は、その過程に酸化ストレスが関与していることを確認。強い抗酸化作用を持つリンゴポリフェノールが表皮において酸化ストレスを軽減させ真皮結合組織の変化を抑制するという「抗光老化素材」としての可能性を発表した。
人間の皮膚は、紫外線に繰り返しさらされることによって真皮結合組織に変化が起こり、光老化皮膚が形成される。同社では、その過程に酸化ストレスが関与していることを確認。強い抗酸化作用を持つリンゴポリフェノールが表皮において酸化ストレスを軽減させ、真皮結合組織の変化を抑制することを実験で解明したもの。

ところで同社は2017年11月に東京理科大学とコラボで「科学のマドンナプロジェク」を理科大神楽坂キャンパスでおこなった。
同社の綜合研究所に在職する若手女性研究職3名が肌と化粧品の関わりや化粧品業界におけるキャリア等について説明した。また、同時にクリームや化粧水の試作実験を行った。
同プロジェクトは、化粧品に関する講演や試作実験を体験することを通じて、多くの理系女子等に理系の学問を身近なものに感じてもらい、合わせて理工系女子の進学、就職に繋げていくのが狙い。

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