【連載】大手化粧品会社の研究⑯ヤーマンの会社研究 ~ブランド戦略を意識した広告宣伝活動を展開、直営店出店に力~(下)
2018.04.10
編集部
ヤーマンは、1978年に設立。半導体検査装置などの先端電子機器開発を通じて培った技術を美容機器へ応用し、長年にわたりプロ用エステティック機器を開発してきた。その知見を生かして現在では、業務用のみならず、高機能で効果に優れた家庭用美容機器も数多く開発している美容機器専門メーカーとして君臨している。
現在、同社と連結子会社(LABO WELL株式会社とYA-MAN U.S.A LTD.)の計3社でグループを構成し、4部門(通販、店販、直販、海外)に区分して販売事業を行っている。
4部門の業務は、通販部門がテレビによる通販業者を経由した個人顧客への販売、カタログ通販会社向け販売、インターネット専売業者向けの販売等を行っている。同社とLABO WELL株式会社が担当している。
店販部門は、家電量販店、バラエティショップ等への販売を実施し、ヤーマンが担当している。
直販部門は、テレビショッピングの手法であるインフォーマーシャル(インフォメーションとコマーシャルを合わせた造語)とスポット広告を連動させることで、個人顧客の囲い込みによる販売効果を創出している。これもヤーマンが担当している。
海外部門は、代理店を介して中国、東南アジア市場等に販売。同社とYA-MAN U.S.A LTD.が担当している。図に同社の事業系統を示す。
同社は、ここへきて販売の強化策を相次いで打ち出した。大手家電量販店向け卸売事業において、代理店を経由していた従来の販売形態を直接取引に切り替えた。
直販部門中心に直接取引へ切り替えたのは、ヤーマンブランドをアピールし販売効率を上げるのが狙い。また、2017年5月に、新組織「ブランド戦略本部」を立ち上げ、新聞、雑誌、地上波テレビ等でのブランド戦略を意識した広告宣伝活動を展開。ブランドの露出拡大やブランドの浸透効果につなげている。
直営店の出店も盛ん。2018年以降、現在まで銀座などに3店舗出店した。いずれもターミナルに隣接し、休日のショッピングや仕事帰りなどで立ち寄れるエリアに出店しているのが特徴。引き続き、直営店の開設で販売強化を図っていく方針。
美容健康機器業界は、これからも成長が期待される一方でますます競争が激しくなっていくとみられている。すでに、電機業界からパナソニックや日立、東芝等が参入し、家電量販店などで販売を強化するなどますます競争が激しさを増している。
そうした中、新規需要をいかに創出し市場での占有率を高めていくか、同社の今後の事業展開が注目される。