【連載】大手化粧品会社の研究⑲クラブコスメチックスの会社研究 ~サロンに顧客管理システム導入、業務の効率化実現~(上)

2018.04.24

特集

編集部

株式会社クラブコスメチックス(大阪府大阪市、非上場)は、明治36年(1903年)に中山太陽堂として創業した老舗化粧品メーカー。明治、大正、昭和、平成の時代変遷の中で、市場や他社の動向を素早くキャッチして研究・開発を実践。特に、皮膚のメカニズムを細胞・分子レベルで研究するとともに、有効性の高い原料の探究や新たな効能評価をもとに商品化。さらに、新規成分の研究を繰り返し、学会を通じて発表をおこなってきた。
こうした研究開発の中からスキンケア、メイクアップ化粧品等のブランド「シゼン」「クラブ」「サロン ド フルベール」を生み出し市場に投入してきた。

現在の化粧品販売は、代理店を介して百貨店、スーパー、コンビニ、ドラッグストア、エステサロン等に卸販売。同時に、顔の施術・フェイシャルエステサロン「サロン ド フルベール」(店舗名)の加盟店(約250店舗)、直営店(2店舗)による多店舗展開を推進。合わせて訪問販売による対面販売を行うなど、多様なチャンネルを生かして拡販を図っている。

このような営業活動の中でサロンが展開するサロン ド フルベール活動の一環として、顧客のもとに販売員が直接、訪問して販売する訪販システムを採用している。
販売員自身が実感した商品の良さや満足感を顧客に伝達。また、ひとりひとりの肌の悩みをしっかりと把握するためにカウンセリングと肌診断を行い、最適な商品の提供とサービスを行っている。また、サロンに顧客管理(写真=CRM)システムを導入して、経営指導による業務の効率化と収益の向上につなげている。
顧客管理システムは、ペン入力でカルテ操作ができるほか、来店状況や施術の履歴、肌の情報、カウンセリング結果、購入製品等といった個人情報を蓄積してデータベース化したもの。また、同システムには、実際に接客したスタッフでなければわからない顧客情報が付与されている。

同社は、フェイシャルサロンを運営するうえで重要となるのは「顧客満足度を高めてリピート客を増やすことであり、そこでは顧客情報を管理するシステムが大きな役割を担う」と判断してサロンへの導入に踏み切った。
顧客システムを導入したことで同社は、サロン各店舗の顧客情報を統合的に管理することが可能になった。また、サロンに対して業務効率化や具体的な経営指導が可能になるなどの相乗効果が現れている。さらに、接客カウンセリング時の情報からは、顧客とのコミュニケーションが上手くできているか「見える化」が確認でき、成功事例などを共有することで具体的な指導が行えるようになった。
このように顧客満足度の向上とリピート客の増加には、顧客管理システムが大きな役割を演じている。

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