【連載】大手化粧品会社の研究㉕伊勢半の会社研究 ~グループ企業「顧客目線」にフォーカス~(中)
2018.05.30
編集部
伊勢半グループの中でメイクアップ、基礎化粧品等の製造・販売事業を行っているのが株式会社伊勢半である。
大手化粧品メーカーの多くは「制度品」と呼ばれる販売方法(デパートやチェーン店で美容部員のカウンセリングによる販売)を通じて市場へ投入・販売している。
これに対し同社は、ブランド化粧品「キスミーフェルム」(写真)や「ISEHAN」などを量販店・ドラッグストア・バラエティーショップ等に代理店を経由して商品を卸し、セルフ販売する「一般品」と呼ばれる販売方法を採用し販売力を伸ばしてきた。
化粧品の広告戦略に加えて販売手法の開拓にも力を注ぎ、国内で初めてPSP方式(パーフェクト・セルフ・パッケージ=化粧品をフックつきラックに掛けてセルフ販売する)の販売スタイルを導入した。この「革新」が、現在の伊勢半の礎となっている。
ここへきて同社は、これまで以上に「顧客目線」にフォーカスした経営スタイルを採っている。
顧客の声を取り入れるため、代理店・小売店に販売を任せるだけではなく営業スタッフが積極的に店舗へ足を運び、小売店とタッグを組んで共に売場を作る提案型企画推進を重視している。全ては顧客目線を貫き収益の向上につなげる狙い。
1954年に創業した株式会社エリザベスは当初、ベースメイク、スキンケア、ネイル等の化粧品を百貨店中心に販売。その後、セルフサービス市場での販売に転換し、現在に至っている。
徹底した消費者視点から独自の商品を企画、ユニークでありながら使いやすく、高品質な商品を開発し、顧客の“欲しい„を実現している。
グループ企業の中で株式会社マーシュ・フィールド株式会社(1968年設立)の事業展開も注目される。同社は、アザ、白斑、傷瘍などの悩みを抱える患者のために開発したカバーメイク用化粧品を販売する。皮膚科や薬局等への卸販売を中心に販売を行っているが、商品の啓発やドラッグストアなどの新チャンネルの開拓が進めばさらに収益の拡大が図れる。
アイカ―ケミカル株式会社(埼玉県川口市)は、化粧品の製造を担当。また、中国中心に海外展開も行っている。
中国での生産を行うため2007年に現地法人伊勢半天津有限公司を設立。また、2011年に中国でのマーケティング、販売会社伊勢半上海有限公司を設立、代理店を介して中国国内での販促活動を強化している。
こうしたグループ企業7社が結束して「革新と独創のセルフメイクで世界を塗り替える」をビジョンに創業200年に向けてさらなる進化を遂げていく方針。