「化粧品原料メーカー、商社の事業展開に迫る」【11】 コラーゲンのパイオニア高研、化粧原料20製品を開発・販売(上)

2014.04.30

特集

編集部

株式会社高研(東京都文京区)は1959年の会社設立以来、医療用シリコーンの人工皮膚の研究開発をはじめアテロコラーゲンの医療、化粧への応用や タンパク質分解酵素処理でコラーゲンを可溶化し、溶液、膜、糸、スポンジなどの形状に加工する独自の技術を開発。さらには、他社との連携によるアテロコ ラーゲンを体内中に徐々に放出する核酸徐放製剤化技術の共同開発などコラーゲンを応用した医療分野で高い技術開発力を持つ。一連の技術・製品開発は、東京 都北区にあるバイオサイエンス研究所から誕生させた。

現在の主力事業は、アテロコラーゲンを応用した医療機器、研究用試薬、化粧品原料など の「コラーゲン事業」、発声を可能にする気管切開カニューレや鼻孔レティナなど医家向け機器の「メディカルプラスチック事業」、救命緊急医療などの技術養 成に使われる教育用生体モデル・シュミレ―タなどの「生体モデル事業」を行なう。また、製造拠点は、メディカルプラスチック製品やコラーゲンを生産する山 形県・鶴岡工場と生体モデルを生産する鶴岡東工場、化粧品溶液調整、充填、凍結乾燥の受託に特化した酒田工場で実施。研究所と工場を直結して品質管理や ニーズに会った製品を敏速に開発する一元体制を構築している。

コラーゲンのパイオニアとして存在価値を示す同社がこれまでに開発した化粧原 料数は現在、同社を代表する主力製品となっているスキンケア用の「アテロコラーゲン」をはじめイカの包卵線から抽出し、粘性に富む糖たんぱく質(ゲル状) の「ムチン」、弾力性、伸縮性が必要とされる動物の結合組織に多く分布するアミノ酸から成る不溶性タンパク質「エラスチン」、果実、米など植物由来の4分 類合わせて20製品にのぼる。

医薬部外品適合のアテロコラーゲンは、牛や豚など動物由来コラーゲンを酵素、アルカリなどで処理し安全性、生 体適合性を高めた保湿効果に優れる製品。また、製品化した中で、特異性を持つ化粧原料は、医薬部外品適合の海洋性化粧原料「フカヒレアテロコラーゲン SS」(1%濃度、写真右)や水分を含むと溶けてジェル状になるパック剤「コーケンパーフェクトアクアジェルシート」(写真左)の2製品もユニークな製品 として注目される。

コーケンパーフェクトアクアジェルシートフカヒレアテロコラーゲンSS

海 洋性化粧原料のフカヒレアテロコラーゲンSSは、動物由来コラーゲンと違って1型コラーゲンとフカヒレに含まれる希少なホモトリマーコラーゲン(エラスト イジン)を化学修飾(サクシニル化処理)した高純度のアテロコラーゲンが各50%含有したアテロコラーゲン容剤。軟骨に多く含まれる2型コラーゲンや新生 児の皮膚に多い3型コラーゲンに似た鎖組成をしており保湿機能を持つ。ヒト皮膚累積刺激性試験(HRIPT)は、実施済み。

2013年12 月に市場投入した防腐剤を含まないアクアジェルシートは、海藻由来のアルギン酸ナトリウムやサメ肝油を精製したオイルのスクアランなどを配合し、フリーズ ドライ製法(凍結乾燥)でシート状にしたもの。拭き取る必要がなく化粧水で使用できるのがミソ。凍結乾燥技術は、乾燥させた化粧品基剤を溶解用の化粧水に 溶かすことにより新鮮な美容液として使用でき乾燥状態で保管が可能なことから防腐剤をほとんど含まない化粧品が作れる。また、同社は現在、サケ由来のコ ラーゲン3品目を開発中。今後、新化粧原料の開発と市場投入を活発化させる方針だ。

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株式会社高研

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