「我が社の生薬配合化粧品ビジネス」【1】漢方・生薬配合化粧品ビジネスのイノベーションに期待

2015.05.8

特集

編集部

化粧品や育毛剤などに化粧機能性や皮膚などへの作用機序を持つ漢方薬(生薬を混合して処方する薬)や生薬(漢方の原料で天然の薬用植物)を配合して商品を開発し、ビジネス展開する新しいイノベーションの波が急速に進展している。医薬品メーカーや漢方・生薬製剤各社などが加盟する日本漢方生薬製剤協会の調べでは、国内で使用された甘草などの代表的な生薬原料種類は、平成22年度で264品目、総使用量が約2万2,000トンにのぼる。漢方・生薬の総使用量に占める用途別割合は、医薬品製剤が約90%、健康補助食品が約7%、化粧品が約3%程度と医家向け(大衆向け医薬品=OTC含む)医薬品が需要の太宗を占める。

生薬の使用基準は、薬事法、日本薬局方に準拠(処方)して運用されている。ここへきて約200種の生薬エキス製剤に医師処方による保険が適用されたこともあって漢方・生薬製剤各社は、病院、美容整形、薬局薬店などへの売り込みを一段と強めており鼻息が荒い。

中国の薬用植物輸出しかし、漢方・生薬の需要増加に伴い、一大生産地中国の輸出規制などから国際相場が急騰(グラフ)。現在、漢方・生薬の安定確保が大きな構造問題として浮上している。

平成22年度で生薬の国内総使用量2,577トンに占める生産国の割合は、日本産11.7%、中国産80.8%と生薬の確保は、中国からの輸入に頼らざるを得ない状況にある。

そうした中で国内医薬品、化粧品メーカーなどは、地方自治体と組んで化粧用、医薬用、健康補助食品用の薬用植物栽培や栽培技術に乗り出している。

薬用植物栽培が活発な北海道や石川県、奈良県などの地方自治体は、地域振興の一環として薬用植物特区の産地形成を進めている。化粧品用の薬用植物栽培は、地方自治体と医薬品各社が共同で取り組む動きが顕著。現在、化粧品用の薬用植物栽培としてジオウエキスやノバラエキスなどの保湿成分や消炎成分の甘草エキス、ワレモコウエキス、収斂(しゅうれん)成分のシラカバエキス、セイヨウハッカエキスなどの栽培が見られるなど安定確保に躍起の体。

一方、医薬品、化粧品各社は、漢方・生薬の化粧機能性や皮膚への作用機序を解明するなどして漢方・生薬配合の化粧品(育毛剤含む)ビジネスを展開する動きにある。特に、関西圏の医薬品各社を中心に地方自治体、地方大学と共同で漢方・生薬配合の抗加齢化粧品、美白化粧品などを研究開発する動きにある。今後、地域創生補助金などの交付を受けて産学官共同の漢方・生薬化粧品開発が一段と促進される見通しで地域中小化粧品事業者への波及が予想される。

そこで“美容漢方〟という新しい概念のビジネス創出を標榜する美容経済新聞社は、5月11日から漢方や生薬を使った化粧品ビジネスに視点を当てた編集企画「我が社の漢方・生薬配合化粧品ビジネス」と題する連載をスタートし“美容漢方〟という新しいビジネス創出に取り組む医薬品、化粧品各社のビジネス展開に迫った。

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