皮膚の保湿で慢性疾患予防の可能性
2019.03.22
国際部
皮膚表面に保湿剤を塗布することで慢性疾患発症と関連する血中の炎症性サイトカインの増加を防げるかを検討した研究結果が3月5日、「the European Academy of Dermatology and Venereology」オンラインに掲載された。
心血管疾患、糖尿病、骨粗鬆症、アルツハイマーなどの加齢に伴う慢性疾患の発症は血中の炎症性サイトカインのレベル増加と関連していることは知られているが、炎症性サイトカインを直接的に減少させる方法はまだ確立されていない。しかし、マウスの実験では表皮機能不全が加齢による血中サイトカインレベルの上昇との関連が説明でき、また、表皮機能の改善で血中サイトカインレベルを低下させることが実証されている。
今回の研究では、表皮機能の改善が血中の炎症誘発性サイトカインレベルを低下させるかを検討するため、33人の高齢者を対象に予備研究を実施。皮膚バリアを修復する軟化剤を1日2回塗布する試験を30日間行い、塗布しなかった高齢者グループおよび若年ボランティアグループと比較した。その結果、皮膚軟化剤の局所適用は、表皮透過性バリア機能および角質層の水和状態を有意に改善した。同時に、IL-1βおよびIL-6の血中レベルの正常化、およびTNFαレベルの実質的な低下が確認された。