【連載】大手化粧品会社の研究(88)サンスターの化粧品研究 ~美白成分を肌内部に届けるナノカプセル伝搬技術を開発~(中)

2019.04.11

特集

編集部

サンスターは、紅花から抽出した美白成分「リノレックS」(リノール酸S)の開発に続いて、2018年2月にプラス帯電したカプセル(多層のリン脂質膜でできたナノサイズのカプセル)に美白有効成分「リノレックS」を内包させてより効率的に肌の内部へ届けるナノカプセル伝搬技術「プラスチャージナノカプセル技術」(特許技術)を開発した。
同技術は、プラス帯電したカプセル(多層のリン脂質膜でできたナノサイズのカプセル)に美白有効成分「リノレックS」を内包させてより効率的に細胞に届けるもの。

リノール酸Sは、2001年に「メラニンの生成を抑制し、シミ、そばかすを防ぐ」医薬部外品の有効成分として厚生労働省から認可を受けた。
リノール酸Sは、メラニンを作る酵素であるチロシナーゼの分解を促進することで、メラニンの産生を抑制し、シミ、そばかすを防ぐ効果を確認。さらに、表皮のターンオーバーを促進し、スムーズにメラニンを排出する作用もある。また、光・熱に対し不安定なリノール酸Sをナノトランスファーカプセル(多層のリン脂質膜で出来たナノサイズのカプセル)に内包することで、安定的にじっくりと肌の内部へと届ける。

プラスチャージナノカプセルは、表面がプラスに帯電しており、マイナスに帯電している肌の細胞と引き寄せ合うことから、細胞に定着しやすくカプセルに内包した成分を効率よく細胞に届ける特徴がある。また、プラスチャージナノカプセルは、従来のナノトランスファーカプセルと比較し、カプセルに内包した成分の細胞内への浸透性と滞留性を向上させることが確認されており、サンスターは、このプラスチャージナノカプセルが持つ「内包成分を効率的に肌の内部へ届ける」機能性に着目し、開発を進めたもの。

同社が行ったリノール酸S内包プラスチャージナノカプセル」の酸化促進試験(図・リノール酸S促進試験)では、リノール酸Sを内包したナノトランスファーカプセル及びプラスチャージナノカプセルに酸化促進剤を添加し、リノール酸Sを酸化されやすい状態で試験を行った。その後、酸化反応を起こす前と起こした後のリノール酸S量を測定し、その変化率からリノール酸Sの酸化されにくさを評価した。
その結果、プラスチャージナノカプセルに内包されたリノール酸Sの方が、従来のナノトランスファーカプセルよりも変化率が小さく、さらに酸化されにくくなったことが確認できた。
これらの実証試験から、より効率的に美白有効成分リノール酸Sを肌の内部に届ける技術を確立したことで同社の技術力の高さを示したものとして注目される。

#

↑