化粧品ECの現状と課題①化粧品ECの現状と課題 ~化粧品EC市場約1800億円規模、売上効果精彩欠く~

2019.11.28

特集

編集部

化粧品の電子商取引(EC)市場規模は、消費者の多様な購入チャネルによって思うような市場拡大を見せていない。国内の化粧品EC市場について経済産業省が調査した2018年度のEC市場規模は、医薬品と合算して約6300億円にのぼる。このうち化粧品のEC市場は、約3割の約1800億円と見込まれている。また、2018年度の全産業のEC化率平均が6.22%であるのに対し、化粧品のEC化率は、約2.1%と低水準にありEC化が進んでいない業界と言える。

電子商取引(electronic commerce =EC、略称eコマース)は、コンピュータネットワーク上での電子的な情報通信によって商品の売買やサービスを提供したりすること。消費者側からは「ネットショッピング」とも呼ばれている。
この化粧品ECサイトの利用が高まらず進展しない要因は
A:販売チャネルの多様化 B:コンビニ、ドラッグストア等の購入の利便性 C:デジタルマーケティングの難易度が高いことなどが挙げられる。

Aについては、消費者の低価格化粧品の購入がドラッグストアやコンビニ、専門店等での購入が多いこと。半面、ブランド品など高級化粧品については、百貨店などの店頭でのアドバイスを受けて化粧品を購入するニーズが強いことからECサイトの利用が鈍いことが指摘されている。特に、百貨店やドラッグストアなどの店頭販売から、訪問販売、カタログ通販、テレビ通販など、多数の販売チャネルが存在するためにEC化が進んでいないことが指摘される。
最近では、化粧品ECについて販売チャネルの強力なツールという位置付けでなく、ブランドを認知させるための販促チャネルとして定着させようと考えていることが化粧品ECの足かせになっているとする向きがある。

Bのドラッグストア、コンビニ等の購入利便性については、全国に店舗があり身近な存在として利便性が高いことがメリットと捉える消費者が多い。
ドラッグストア等では、若年層を中心にプチプラコスメと呼ばれる低価格帯の化粧品のニーズが非常に強く数百円から化粧品を買うことができる。プチプラコスメで女子高生に最も人気のある「キャンメイク」は直販のECサイトはなく、ドラッグストアや専門店での店頭販売が中心。

Cのデジタルマーケティングの難易度が高い点については、ECサイトでの売上が伸ばしづらいことがある。 その理由として激しい競争状態にある「レッドオーシャン」市場に海外化粧品を含む大手化粧品企業がこぞって参入し、デジタルマーケティングの広告費が高騰するなど需要を獲得するのが難しい業界であることがあげられる。

次回、化粧品各社の化粧品ECの取り組みや課題等に迫る。

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