肥満で見落とされがちな栄養失調
2020.10.5
国際部
肥満患者の間で過小評価され、見過ごされがちな栄養失調の問題に注目した論説の紹介が9月28日、NATIONAL JEWISH HEALTHからニュースリリースされた。研究の詳細は「Journalof the American College of Cardiology」に掲載された。
急性冠状動脈疾患(ACD)の研究では、栄養失調がこの病気の重要な根本要因であることが判明し、栄養不良の人の約半数は太りすぎまたは肥満だった。「肥満患者における栄養不良はほとんど認識されておらず、治療も不十分である。体重は食品の質と相関しており、肥満患者には栄養失調のリスクがないという考えを払拭することが重要だ」と共著者のAndrew Freeman博士は述べている。太りすぎの患者はしばしば食事の質が悪いと認識することで、患者と医師の間で交わされる会話の内容が栄養状態の改善に向けてシフトするのに役立つ。また、未治療のまま放置すると、栄養失調は糖尿病、高血圧、心臓病などの深刻な健康状態につながる可能性がある。
Freeman博士は「臨床医は、心血管疾患を軽減または逆転させることが知られている食事パターン、ならびに身体活動ガイドライン、およびストレス解消、注意力、質の高い睡眠などのセルフケアの実践に精通している必要がある」と述べ、これらのライフスタイル要素のそれぞれを監視することは、多くの慢性疾患の大きな改善につながる可能性があることを示唆。心臓病やその他の疾患に対する最も費用効果が高く強力なツールである栄養とライフスタイル介入で医学界が武装する時が来たとしている。