酢酸セルロース真球微粒子、「2020年度セルロース学会技術賞」を受賞
2021.10.12
編集部
化学品メーカーの株式会社ダイセル(大阪市北区/代表取締役社長:小河義美)は10月1日、化粧品向け酢酸セルロースを同社独自の技術で加工した真球状微粒子の研究業績が、セルロース学会※より評価され「2020年度セルロース学会技術賞」を受賞したと発表した。
※セルロースとその関連物質に関する研究の進歩をはかり、学術の発展および技術の向上に寄与することを目的として、1993年に創立した学術組織
受賞対象となった正式な業績名は「酢酸セルロース真球微粒子の開発と化粧品への応用」。
この、酢酸セルロース真球微粒子は、マイクロプラスチックによる海洋汚染問題の解決策となりうるもので、製品名は「BELLOCEA(R)」。2020年12月より化粧品向けのサステナブルな素材として販売している。
酢酸セルロースは、木材中に存在する「セルロース」と酢の主成分である「酢酸」を主原料としたもので、とくにに海水中で高い生分解性を有する、天然由来の環境にやさしい素材だ(図1)。
これまで化粧品に使われてきたマイクロプラスチック微粒子は真球状で、肌での伸びが良いことが特徴であったが、環境に配慮した代替素材を真球状にすることは技術的に大きな課題でもあった。
そこで、同社は独自の研究開発を進め、真球状かつ粒度が比較的均一な酢酸セルロース微粒子を製造する技術を確立した。この技術で作製した「BELLOCEA(R)」は、従来のマイクロプラスチック真球微粒子と同等以上の使用感を実現することが出来たという(図2)。
また、「BELLOCEA(R)」は、UVB(中波紫外線)による炎症の防止効果を表すSPF(Sun Protect Factor)の底上げも期待できるため、UVケア商品へ配合することで紫外線防御剤の配合量を減らし、SPF効果を保ちながら肌への負担を軽減することもできるという。
そして、この製品の今後について同社は、「当社が運営する女性のためのヘルスケアブランド『WELLMETHOD』において、『BELLOCEA(R)』を配合したUVケア商品の開発、上市を計画しており、マイクロプラスチック粒子削減に貢献します」と述べている。