世界の美容とヘルスケアビジネス情報を配信

FEATURED

注目の企画

BUSINESS

“また来たい”と言わせる!顧客体験強化で差がつくサロン経営術

顧客体験は、ビジネスの持続性を望むすべての経営者にとって、今や欠かすことのできない要素となっています。
では、どのようにしてこの体験を「忘れられないもの」にし、お客様に「また来たい」と思ってもらえるようにするのでしょうか?

来店前から始まるCX

顧客体験とは、お客様がサロンで過ごす時間のことだけを指しているのではありません。それは、お客様がサロンの扉をくぐる前から、すでに始まっているのです。

予約の段階

お客様は来店前に、まずインターネットで情報収集をします。

  • 初めてのお客様であれば、自分の期待に応えてくれるサロンを探します。
  • リピーターであれば、あなたのウェブサイトで予約を入れるか、Googleマイビジネスのページで電話番号を調べて予約の連絡をします。

このため、あなたのサロンのイメージがしっかりと表現されていることが非常に重要です。お客様に「ここなら間違いない。素敵な時間を過ごせそう」と思ってもらえるようにしましょう。

予約が完了したら、最低限、予約確認とリマインダーをメールやSMSで送ることが必要です。このちょっとした気遣いが、すでに「あなたをお迎えする準備ができていますよ」というメッセージとなり、お客様に「大切にされている」と感じてもらえます。

さらに一歩踏み込むなら、施術前アンケートを送るのもおすすめです。お客様が希望する施術内容や悩みを事前に把握することで、準備がスムーズになり、時間の節約にもなります。それ以上に、「あなたのことを大切に考えています」「あなたにとって特別な体験を提供したいと思っています」という思いやりの気持ちが伝わります。

初対面で差をつける

いよいよ当日。ここでも「お迎えの仕方」はとても重要なポイントです。もはや「お客様が勝手に扉を開けて入ってきて、『こんにちは』と声をかけて、そのまま施術室に案内する」だけでは、十分とは言えません。

サロンへの到着時

ひとりで営業している場合は、できるだけ自ら扉を開けてお客様を迎えましょう。そうすることで、「あなたをお待ちしていました」という気持ちが自然と伝わり、お客様に安心感と特別感を与えられます。チームで営業している場合は、常に誰かが受付にいて、お客様をスムーズにお迎えできる体制を整えておきましょう。いかなる場合でも、お客様を受付スペースで数分間ひとりにしないようにしましょう。わずか数分の待ち時間であっても、人によっては非常に長く、不快な印象を与えてしまうことがあります。

施術室へのご案内

一見当たり前のように思えますが、必ずお客様をご自身で施術室までご案内しましょう。たとえお客様が場所をすでに把握していたとしても、「どうぞこちらへ」と丁寧にお誘いし、入室後は数秒でも構いませんので、施術の準備方法を簡単にご説明するとよいでしょう。これは新規のお客様に限らず、リピーターに対しても大切です。なぜなら、あなたにとって当たり前のことでも、お客様にとってはそうでないことが多いからです。(例:携帯電話は機内モードにする、顔のワックス脱毛前に眼鏡を外す、施術者の入室前にベッドに横になる など)そして、あなたが施術室に入ったときには、その日行う施術内容の流れを再確認し、お客様にお伝えしましょう。これによって、「あなたを心待ちにしていました」「準備万端でお迎えします」という気持ちを伝えることができ、お客様はより安心してリラックスした時間を過ごすことができます。

快適さは投資

Perfect’Proの会員であるセラピストの中には、私たちの提案した工夫をすでに取り入れ、多くのお客様から快適さに関する高評価の声をいただいています。お客様の快適さへの投資は惜しまない音楽や香りといった「雰囲気」だけでなく、施術ベッドの快適さは顧客体験の質を左右する重要なポイントです。たとえワックス脱毛のような短時間の施術でも、ベッドが快適であれば、「もう少しこのまま寝ていたい」と感じさせることができ、もし時間がある場合には追加施術の提案がしやすくなります。あるいは、次回のリラクゼーション系メニューの予約につなげることも可能です。つまり、施術ベッドの快適さに投資することで、追加の売上を生み出すことができるのです。

また、リネン類の品質も忘れてはなりません。竹繊維のマイクロファイバー素材を使用すると、洗濯を繰り返しても柔らかさが持続し、乾燥や洗濯のコストも抑えられるという利点があります。

マッサージにおいて

当然のことですが、マッサージ用のベッドは温めておくことが必須です(お客様が希望しない場合を除く)。しかし、それだけでは「特別な体験」にはなりません。施術室内の温度は22℃程度に保ちましょう。マッサージ中のお客様は(たとえタオルで覆われていても)裸の状態が多く、動きのある施術者に比べて寒さを感じやすいものです。また、一般的なマッサージベッドは硬めで、包み込まれるような心地よさに欠けているため、その点も改善できるとより満足度が高まります。

フェイシャルケアにおいて

フェイシャルでも、これまで挙げた要素はすべて該当します。さらに特別な体験として、使用する化粧品を事前に温めておくことや、温かいタオルで拭き取りを行うといった工夫も非常に効果的です。そして、フェイシャルマスクの放置中に施術者がその場を離れることは、絶対に避けましょう。フェイシャルは美容効果だけでなく、究極のリラクゼーションの時間でもあるべきです。この時間を活用して、手・足・頭皮・お腹のマッサージなどを提供することで、お客様にとって「退屈な待ち時間」ではなく、価値あるひとときとなります。実際、この方法を導入した多くの会員が「フェイシャル後にボディマッサージの予約が増えた」と報告してくれています。

診断力で信頼獲得

フェイシャルケアや痩身メニューを専門とする多くのサロンでは、施術前の診断(カウンセリング)が欠かせないステップとなっています。しかし、ワックス脱毛、ネイルケア、メイクアップといったその他の施術においては、診断があまり活用されていないのが現状です。診断とは、スタート地点の状態を把握することであり、だからこそ他の施術にも活用すべきなのです。

脱毛において

  • 肌タイプや毛質、普段のお手入れ習慣を確認することで、より個別に適したアドバイスが可能になります。
  • 眉まわりの脱毛であれば、眉の形やまぶたの皮膚状態を確認することで、施術の方法を決定しやすくなり、眉のカラーリングやブロウリフト(眉のリフトアップ)といった追加メニューの提案もしやすくなります。
  • また、例えば眉のラインが不規則で部分的に毛が足りない場合、お客様には「整えるには少し時間がかかりますので、しばらくは生やしていただく必要があります」と事前に説明することができます。これにより、仕上がりへの誤解や不満を防ぎ、プロとしての信頼感を築くことができます。

お客様があなたのアドバイスに納得し信頼してくれることで、安心してリピートしてくれるようになります。

ネイルケアにおいて

ネイルの施術といっても、お客様にはまず「手と足」があるということを忘れてはいけません。肌の乾燥具合や爪の状態を診断することで、プロとしてのアドバイスが可能になり、お客様は「自分に合ったケアを受けられている」と感じることができます。また、爪や肌の状態に応じたホームケア用品を提案することで、あなたの施術の効果を自宅でも持続できるようサポートでき、同時に物販にもつながります。この一連の流れが、あなたのサービスの質に対するお客様の信頼感を高めてくれるのです。

メイクアップにおいて

メイクアップは、サロンの施術メニューの中では軽視されがちな分野です。しかし、実際にはお客様の肌状態、顔立ち(骨格)、肌の色味をしっかりと分析することで、あなたの専門性を強く印象づけることができます。この診断をもとに、色の選び方やテクスチャーの選定方法を的確にアドバイスすることで、「メイクが長持ちする」「より自分に似合う」といった具体的な効果を説明することができ、お客様にとっての満足度がさらに高まります。

診断を行うには、施術時間にほんの数分追加するだけです。けれどもその少しの時間が、最終的には売上の増加や顧客体験の向上へとつながる、非常に価値の高いステップとなるのです。

終わりじゃないアフターサービス

施術後に行うべきこと

  • 施術が終わったら、施術中にお伝えしたアドバイスを再確認し、おすすめの商品を紹介し、試供品を渡した場合は、その内容と使用量を記録しておきましょう。
  • 新規のお客様には、「ウェルカムオファー」などの特典を用意して、再来店のきっかけを作ると良いでしょう。
  • また、すべてのお客様に対して、施術後の注意点(例:脱毛後は肌を温めすぎない、フェイシャル後はファンデーションを控える、マッサージ後は激しい動きを避けるなど)を一言添えるだけで、専門家としての信頼感が高まります。

お客様がサロンを出たあとも体験は続く。お客様がサロンの扉を出た瞬間に、体験が終わるわけではありません。施術後のフォローアップを行うことで、お客様は「私はただの消費者ではなく、本当に大切にされている」と実感します。

施術後に、

  • 「その後の調子はいかがですか?」というメールやSMSを送る
  • 購入された商品についての使い方の質問があれば、いつでもご相談くださいと伝える
  • 施術後の注意事項やホームケアの要点をまとめた資料を添付する
  • このタイミングで、Googleマイビジネスのページへのレビュー投稿のお願いも行うと良いでしょう。

お客様とのつながりを保つことは、体験の質を高めるだけでなく、あなたのことをお客様の記憶にしっかり残すことにもつながります。今の時代、競争は激しく、大手企業から大量のメールが毎日のように届きます。あなたも同じく、このコミュニケーションの手段を上手に活用して、「お客様にとっての一番のケアの専門家」であり続けることが大切です。

声を“可視化”する仕組み

今日では、積極的に情報発信をしない企業は成長が止まってしまうと言われています。経営者として「前進し続ける」という意志を持つことが、競争に勝ち残るためには欠かせません。

顧客満足度の測定

お客様の満足度を測る方法はいくつかありますが、どの方法を選ぶにしても、「測ること」そのものがとても重要です。お客様に意見を聞くことで、「私は大切にされている」と感じてもらえます。

  • 「ゲストブック(お客様ノート)」は、Googleレビューの前身とも言えるツールです。インターネットに不慣れなお客様でも、気軽に意見を残せる手段として有効です。そこに書かれた声をSNSで紹介するのも良いでしょう。
  • 「アイデアボックス」を設置して、お客様に「こんなサービスがあったらいいな」「ここを変えてほしい」といった意見を自由に投函してもらうのもおすすめです。これにより、お客様との距離が縮まり、期待に応える姿勢をアピールできます。
  • 年に1〜2回程度、アンケートを配信するのも効果的です。お客様のニーズや嗜好のトレンドを知ることができ、新しいメニューの導入を決める際の判断材料になります。また、施術中の雰囲気、内装、Webサイトの使いやすさなどについての改善のヒントも得られます。

まとめ

顧客とのコミュニケーションは、サロンの成長・信頼・差別化のすべてにつながる最も重要な要素のひとつです。お客様の声に耳を傾け、心から寄り添い、誠実に発信を続けること――それこそが、選ばれ続けるサロンであるための鍵なのです。

執筆:ヴァレリー・デメゾン=ブティエ
Perfectis Formationsの創設者であり、美容サロン向けの支援を専門とするエキスパート。
講師としても活躍し、エステティシャンの日常業務をサポートするために考案されたサブスクリプションサービス「Perfect’Pro」の開発者でもあります。

ヌーヴェル日本版(LNE)公式サイトwith美容経済新聞 2025年6月正式リリース!

  • Byline
  • New
VALÉRIE DESMAISONS-BOUTHIER

VALÉRIE DESMAISONS-BOUTHIER

PERFECTIS FORMATIONS創設者

美容業界のプロフェッショナル向けの研修・コーチング機関「PERFECTIS FORMATIONS」 創設者。 美容サロンの運営支援におけるエキスパートとして活躍し、講師としても豊富な経験を持つ。 また、エステティシャンの日常業務をより円滑にすることを目的に開発されたサブスクリプションサービス「PERFECT’PRO(パーフェクト・プロ)」の考案者でもある。

  1. “また来たい”と言わせる!顧客体験強化で差がつくサロン経営術

  2. 誠実な提案が信頼を生む!エステティシャンのための5つの営業術

RELATED

気になるなら一緒に読んでほしい関連記事

PAGE TOP