美容従事者にとって、日々の業務は身体面だけでなく、神経面や感情面にも負担がかかります。 自分自身のエネルギーを補う時間を取らなければ、心身のバランスが崩れ、提供するケアの質にも影響が出てしまいます。エネルギーを守ることは特別なことではなく、長く仕事を続けていくための重要な条件です。誰かを大切にするためには、まず自分自身を整える必要があります。ここでは、私自身が日常に取り入れ、忙しい日でも続けやすい7つの実践を紹介します。
①バッチフラワーで感情のバランスを整える方法

お客様のストレスや緊張、感情を、意図せず受け取ってしまう場面は少なくありません。その結果、感情的な疲労や意欲の低下、あるいは、一日の終わりに気力を使い果たしたように感じることもあります。専門的な立場で注意していても、気付かないうちに相手の負のエネルギーを抱えてしまうことは起こり得ます。
こうしたときの助けになるのが、私が認定カウンセラーとして深く学んできたバッチフラワーです。控えめながら力強く働き、単体で舌に落とす方法や、水に混ぜて複数を組み合わせる方法があります。継続的に使用する場合と、必要な時だけ使用する場合のどちらにも対応できます。
個々の感情に合わせた分析が本来は必要ですが、一般によく知られている働きとしては次のようなものがあります。
- オリーブ:激しい心身の疲労に
- セントーリー:断りづらい、境界線を引くのが苦手なときに
- エルム:責任や業務が重く感じられるときに
- レスキューレメディ:強いストレスを受けた直後のサポートに
最も取り入れやすい方法は、湧き水のような硬度の低い水に四滴を入れ、一日四回飲むことです。一つのサイクルを試すことで、働きを実感しやすくなります。
②クリスタルを使ったエネルギーケアの基礎
クリスタルについては賛否の意見が語られますが、学びを深め、時間をかけて使っていくと、施術空間などの環境でエネルギーを調整する役割を果たす場面があります。もちろん、十分な睡眠や食事といった基本的な生活習慣の代わりになるわけではありませんが、一日を通して落ち着きを保つ助けになります。
身につけておく、あるいは施術スペースに置くなど、取り入れ方はシンプルです。特に扱いやすいものとして次が挙げられます。
- ラブラドライト:対人支援の仕事に適しており、外部のエネルギーから身を守る働き
- トルマリン・ノワール:慌ただしい日の心の中心を保つ助け
- ローズクォーツ:自分への優しさや安心感を引き出すサポート
週に一度は、塩水・お香・月光などで浄化することをおすすめします。
③心拍の同調呼吸で自律神経を整える習慣
この呼吸法の魅力は、一日に三回、五分ずつ行うだけで取り組める点です。心拍の同調呼吸で用いられる一分間に六回ほどの呼吸ペースは、瞑想するヨガ実践者や、息を整える登山ガイド、潜水で呼吸を調整する人々にも見られる自然なリズムです。自律神経を整える“リセット”の働きがあり、緊張を和らげ、自分の中心に戻る助けになります。
方法はとてもシンプルです。
- 五秒かけて息を吸う
- 五秒かけて息を吐く
これを五分間続けます。朝・昼・夜の実践が理想的です。継続することで、心身の安定に大きく役立ちます。
④施術者の身体を守るためのストレッチ実践
マッサージは身体を使う仕事です。同じ動きを繰り返すことで、手首、肩周り、腰などに負担が蓄積されます。以前、チームの理学療法士が「本当に良くないのは、同じ動作を続けて逆の動きを全くしないこと」だと繰り返し教えてくれました。日常的に使い続けている筋肉ほど、意識して伸ばす必要があります。お客様の合間や一日の終わりに、短い動きのルーティンを作ってみてください。
- 肩周りのストレッチ:頭を左右にゆっくり倒す
- 手首のストレッチ:腕を伸ばし、指先をゆっくり自分側へ引く
- 背中のストレッチ:チャイルドポーズや仰向けで膝を胸に引き寄せる姿勢
わずか二分でも、こまめに繰り返すことで、慢性的な痛みに発展するのを防ぎます。
⑤短時間で心を整えるシンプル瞑想法

瞑想をしたことがないと、「じっと動かずに座るもの」「何も考えてはいけないもの」といったイメージを持つかもしれません。しかし、瞑想とは思考を完全に空にすることではなく、自分の内側にゆとりのスペースを作り、心を整える時間です。
次のような、取り入れやすい方法があります。
ボディスキャンのショートバージョン
目を閉じ、頭からつま先まで身体の各部位を想像しながら意識を向けていく方法です。思考を身体感覚と結びつけることで、心を「今この瞬間」に戻すことができます。「考えごと」「不安」「先の心配」に意識が向かう代わりに、具体的な感覚に集中できます。
ガイド付き瞑想
Petit Bambou、Insight Timer、Calmなどのアプリを使えば、ケア前後や就寝前に短時間で実践できます。
こうした短い休息が、心の余裕とお客様への向き合い方に大きな違いをもたらします。
⑥一日のリズムを整える「朝と夜の小さな儀式」
一日は「始まり」と「終わり」があってこそ整います。この二つの時間を意識的に区切ることは、仕事の姿勢を整え、勤務後の自分のバランスを保つ助けになります。
私が忙しい日々に実践している例をご紹介します。
朝の5分
- レモン入りの白湯やハーブティー
- 一分間の同調呼吸
- 軽いストレッチ
- 前向きな言葉を心に置く
(私は「私は光を放つ存在」という言葉が好きですが、「今日を楽しく働く」「仕事に感謝している」など、お好みの言葉で構いません) - 必要に応じてバッチフラワーや安定感を与えるクリスタル
夜の時間
- ゆっくりと意識しながら手を洗い、仕事との切り替えをつくる
- やさしいストレッチ
- 深い呼吸
- 一日の中で感じた感謝の言葉をひとつ
- 必要であればバッチフラワーや、タイムのハーブティー(私のお気に入りです)
こうした“小さな儀式”は一見ささやかですが、自分の言葉や動作を重ねることで、日常を支える大切な習慣になります。
⑦健やかに働き続けるための境界線の作り方
あなた自身が、仕事のための第一の道具です。大切に扱われない道具は、使い続ければ壊れてしまいます。美容とウェルネスの仕事では、日々多くの依頼や期待が寄せられます。その負荷を軽く見てはいけません。早い段階から、罪悪感なく境界線を引く練習をしましょう。
「ご要望は理解しますが、その日はお受けできません」
「私より適した方をご紹介できます」
「今週は予約が埋まっておりますので、別のお時間をご案内します」
あらかじめ自分なりのフレーズを準備しておくと、落ち着いて優しく伝えやすくなります。
自分を整える習慣こそ長く働く力になる
ここに紹介した方法は、あなたに合うものもあれば、合わないものもあるはずです。自分のライフスタイルに合わせてアレンジして構いません。重要なのは「どの方法を選ぶか」よりも、「毎日数分でも、自分のための時間を確保すること」です。それこそが、仕事を長く続ける力につながります。
