太っていても「メタボ」でない人がいる

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2015.01.6

国際部

体重が増加することで代謝(メタボリック)に異常が起こり、糖尿病や心臓疾患のリスク因子とされている肥満。「代謝が正常な肥満」の人は、糖尿病などのリスクが少ないという研究結果が12月30日、米ワシントン大学セントルイス校のサイトに掲載された。研究の詳細は2015年1月2日、「The Journal of Clinical Investigation」オンライン版に掲載された。

肥満は、インスリン抵抗性や肝臓内トリグリセリド(IHTG)含量増加と関連し、代謝の異常を生じる。しかし、肥満であっても代謝に異常がない人が一部に存在する。このような「代謝的に正常な肥満(metabolically normal obese:MNO)」は、「代謝的に異常な肥満(metabolically abnormal obese:MAO)」の人に比べ、体重増加の影響を受けにくいという仮説を検証した。

同大学医学部のSamuel Klein医師らによるこの研究は、代謝正常肥満の12人、代謝異常肥満の8人を対象に実施された。その結果、体重増加と脂肪容積の増加は、代謝正常・異常の人で同様だった。肝臓・骨格筋筋肉・脂肪組織のインスリン感受性、またVLDLアポB100濃度および分泌速度は代謝異常の人で増加し、代謝正常の人では変化がなかった。脂肪組織の脂質合成に関連する生物学的経路や遺伝子は代謝正常の人で増加し、代謝異常の人では変化がなかった。

さらに最近では、「代謝的に肥満で体重は正常(metabolically obese normal weight:MONW)」という、いわゆる「かくれ肥満」も医学的に定義、研究が進められており、肥満でも代謝的に健康な場合も、肥満でないのに代謝的に健康でない場合もあることが注目されている。

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