アイス·ティーの飲み過ぎで人工透析になった例
2015.04.6
国際部
米国アーカンソー州から、アイス·ティーの飲み過ぎで腎臓障害になった男性の症例報告が4月2日、「New England Journal of Medicine」オンライン版に掲載された。
「アイス·ティー腎症」疑いの56歳の男性は、2014年5月に疲労、脱力感の自覚症状と、血清クレアチニンレベルの上昇を病院に報告。腎臓結石の既往症や、家族に腎臓病を持った人がいたわけではなく、エチレングリコールにも曝露はなかった。問診で、毎日16杯のアイス・ティー(1杯は約240ml)を飲んでいることがわかった。男性は尿道症を悪化させ透析の開始を余儀なくされた。
紅茶は、100ml当たり50-100mgとシュウ酸を多く含む食品のひとつ。ほかに確たる原因が見られないため、腎症が透析を必要とするまで急激に悪化した原因はアイス・ティーの原料、紅茶と考えられた。このような急性のシュウ酸腎症は、スターフルーツ、ルバーブ、ピーナッツの食べ過ぎでも報告されている。アメリカでのシュウ酸の推奨一日平均摂取量は40-50mg以内とされているが、この男性は152-511mgと非常に高かった。
シュウ酸はホウレンソウやサトイモなどにも多く含まれている成分。化学物質としては毒性があるが、調理でゆでることで水に溶かして除去したり、体内ではカルシウムと結合して排出もされる。過剰に摂取すると結石などの症状が出ることでも知られている。また、カルシウムと一緒に摂ることで体内に摂取されにくくなるため、紅茶の摂取量が多い英国でのミルクティーは理にかなっているという説もある。食べ物だけでなく、飲み物もバランス良く。が大切かもしれない。