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マンモグラフィ検査で乳がん死亡率は減らない

乳がん早期発見のためのマンモグラフィの検査率が増加しても、乳がんによる死亡率は減らないというアメリカの調査結果が7月6日、「JAMA Internal Medicine」オンライン版に掲載された。

調査は、がん研究のSurveillance, Epidemiology, and End Results cancer registriesに登録された、アメリカ547郡に居住する女性1600万人(40歳以上)を対象とし、このうち乳がんと診断された5万3207人について10年の追跡調査をした。追跡期間は2000年1月1日から2010年12月31日、2013年4月から2015年3月に結果の分析を行っている。

その結果、マンモグラフィ検査の受検率と乳がんと診断された女性の割合には正の関係があることがわかった。パーセンテージにして10ポイントの受検率の増加は乳がん率を16%増加させた。しかし、受検率が増加しても乳がん死亡率が減少するという関連はみられなかった。

腫瘍の大きさによる層別解析では、より多くの受検と小さな乳がんの発見率と関連した。受検率10%ポイントの増加は、小さい乳がん発見率を25%増加させた。大きな乳がんの発見率は7%増加した。研究者らは、マンモグラフィ検診による広範囲の過剰診断への懸念を示している。

マンモグラフィは費用対効果が明確でないことと、過剰診断が多いことを示す研究結果が次々と出されており、実施の見直しを提案する研究者も少なくない。費用対効果の面では、マンモグラフィを実施してもしなくても乳がんによる死亡率に大きな変化はないことが問題となっている。過剰診断の面では、症状がなく治療不要の腫瘍までがんと判断してしまうことで、女性への心理的な苦痛なども問題とされている。

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橋本奈保子

顧問記者(国際情報、薬事・医療ニュース)

名古屋大学大学院、英国Durham University, Graduate School 卒。編集者、ライターを経てフリージャーナリストとして独立。専門分野は、医学・化学関連。また、同分野を中心に翻訳、ウェブコンテンツ・ディレクターとしても活躍中。 本誌では主に、米国欧州を中心に先端美容医療、化学、米FDAなどの情報を担当。

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