パーソナルケア製品に潜む内分泌かく乱化学物質の危険
2016.03.14
国際部
アメリカで2012-15年に実施されたHERMOSA研究からの知見が3月7日、「Environmental Health Perspectives」オンラインに発表された。HERMOSA試験はHealth and Environmental Research in Make-up Of Salinas Adolescentsの頭文字をとったもので、青少年に対する化粧品(パーソナルケア製品)による健康環境に関する研究。カリフォルニア乳がん研究プログラムの資金援助で行われている。
アメリカでの平均的なパーソナルケア製品の使用は、女性では12種類、男性では6種類であるという。製品の多くはフタル酸エステル類、パラベン、トリクロサンなどの内分泌かく乱化学物質(EDCsの)を含んでいる。これらの物質が子供に癌、不妊症の潜在的リスクではないかということから研究はセッティングされている。
今回の報告は試験に参加した100人のラテン系少女を対象にした。対象者にフタル酸、パラベン、トリクロサン、オキシベンゾンなどを含まないパーソナルケア用品に切り替えてもらい、体内物質を測定。切り替え前後の数値を比較した。切り替え前と切り替え後3日での比較の結果、尿中のジエチルフタル酸代謝物の量は27.4%減、フタル酸モノブチルおよびフタル酸モノイソブチルは変化が見られなかった。メチルおよびプロピルパラベンはそれぞれ43.9%および45.4%減、エチルパラベンおよびブチルパラベンは意外なことにわずかだが増加が見られた。トリクロサンは35.7%、オキシベンゾンは36.0%の減少が見られた。
研究者らは、フタル酸エステル類、パラベン、トリクロサンを含まない製品を使用することで、内分泌かく乱化学物質への曝露を減らすことが実証できたと述べている。