【連載】化粧品各社のイノベーション研究【25】ナノキャリア③ ~化粧品専門部隊を組織、化粧品分野に本格参入~
2016.05.26
編集部
創薬ベンチャーのナノキャリアは、化粧品分野へ本格参入した。社内に化粧品専門の事業部を組織(2015年1月)するとともに、今年(2016年)3月に高級化粧品メーカーのアルビオンと新たな共同開発契約を締結し、新技術や新製品開発を促進する。
化粧品専門部隊の設置は、メンバーを約5~6名程度で構成し、開発から製造、販売まで一貫して取り組む。これまで技術部門などが兼業で取り組んでいたが、専門部隊を設置することで事業の立ち上げを早め収益向上に繋げる。
同社は、化粧品事業を第2の収益事業として立ち上げたフレッシュな部門。現在、事業推進のため、中心となって研究開発をリードし、ベンチャースピリットに溢れる人材の採用を図っている。
一方、同社は、アルビオンとこれまでの成果をさらなる商品開発に繋げることを目的として、共同開発契約を継続することで合意し、今年3月に新たな契約を締結した。
契約に伴う共同研究では、新生美容液「エクラフチュール」の第2弾として皮膚領域においてさらに進化した薬物搬送システム(DDS技術)や新製品を開発する方針。アルビオンとの共同研究締結で、同社の化粧品事業がさらに加速することになった。
同社の今期(2019年3月期)化粧品事業については、アルビオンが製造・販売する高級化粧品であるエクラフチュール及びエクシアAL用原料の安定供給を図る。また、男性用スカルプトータルケア製品「デプス」の販売を本格化させる計画。さらに、新エクラフチュールの開発に向けて、アルビオンとの共同研究開発に取り組んでいる。
同社は、アルビオンとの新たな契約締結に伴う契約一時金収入などに伴い、前期(2016年3月期)の業績を上方修正した。
同社の前期業績(非連結)は、売上高2億4300万円(前期比-64.0%)、営業利益-20億8200万円、利益-25億3700万円。
今期(2019年3月期)の業績見通しについては、売上高1億8200万円(前期比-25.2%)、営業利益-34億5200万円、最終損益-34億7500万円の損失と赤字幅が拡大する見通し。
今期業績見通しの中で、第2の収益事業である化粧品事業が収益にどの程度寄与するか、注目されるところだ。