完璧なUVAプロテクションを叶える新化合物開発
2016.07.25
国際部
長年不十分であったUVA波からの皮膚の保護を叶える新化合物の開発が完成したと7月20日、英国バース大学サイトのUniversity Newsが伝えた。
英国キングス・カレッジ・ロンドンとの共同研究で開発された新しい化合物は、光老化、紫外線による細胞の損傷や癌の発生などの有害な影響から皮膚を保護する前例のない効果を提供するという。現在、市場で販売されている日焼け止めはUVBに対しては効果が高いが、UVAに対しては有効性が限られており、UVA誘発性の有害効果への保護も十分ではなかった。しかし、研究チームによって「mitoiron claw」と名付けられたこの化合物は、ヒトの細胞の中にあって細胞を損傷することなくUVAからの影響を抑制することができる。研究チームは、3~4年以内の実用化を期待している。
この「mitoiron claw」は、鉄キレート剤の一種で、過剰な遊離鉄のUVA暴露による反応を抑制し、直接ミトコンドリアに移動させる。ヒト皮膚線維芽細胞を用いて遮蔽物のない海面で140分のUVA曝露実験をしたところ、「mitoiron claw」を塗布した細胞サンプルでは完全に細胞死から保護されていたが、塗布しなかったサンプルは細胞死を起こしていた。研究の詳細は「the Journal of Investigative Dermatology」に掲載されている。
鉄キレート剤は、UVAからの強力な皮膚保護効果が知られていたが、人体に対しての毒性が強く、実用が難しかった。今回、新開発の「mitoiron claw」は、この2つの点をクリアしていると研究者らは述べている。