【連載】化粧品・美容関連ベンチャー企業の成長軌跡【22】ノースバイオラボラトリー① ~医師、産学官連携で薬用化粧品等を開発~
2016.10.12
編集部
ノースバイオラボラトリーズ有限会社(北海道札幌市、社長 大庭由希氏)は、1999年に化粧品ベンチャーとして設立。以降、現在までに皮膚科・美容外科などのクリニックに対して、自社で開発した敏感肌・トラブル肌向けの薬用ローションなどのドクターズコスメ及び原料素材の事業を展開している。
化粧品ベンチャーとして医師との連携による先端技術の導入、臨床データの取得と検証を強みとし、薬用化粧品と医薬部外品両方の製造業許可を持つ。
大学で高分子を学び道内の医科大学で医学博士を取得、その後、化粧品メーカーで開発に携わったキャリアを持つ取締役が中心となって、同社の商品開発を推進している。同取締役は、高分子と医療、化粧品の専門知識を兼ね備える希少な存在。
そんな同社のドクターが全国の医師と連携して先端技術の導入や臨床データの取得、検証を行い、従来のドクターズコスメの枠を超えたビタミンC配合のスキンケア開発を実現した。
ドクターズコスメは、これまで化粧水に高い濃度でビタミンCを配合すると成分沈殿や変色など劣化が起こる問題があった。しかし、同社では10%という高濃度を他社に先駆けて添加物無しで実現することに成功。薬用ローションなど、ドクターズコスメの高品質を維持しながら一般消費者のニーズにいち早く応えた。
同社は医療機関との連携による開発に留まらず、道内地域の産学官連携プロジェクトに参画し、製品開発の幅を拡大してきたことも大きな特徴。
これまで根室産業クラスター創造研究会、道立釧路水産試験場、北海道大学との共同事業に参画し、産業廃棄物として捨てられているアイヌワカメとアツバ昆布などの雑海草を使った保湿性の高い化粧水と乳液、ジェル状美容液の3タイプのスキンケア化粧品を開発した。
コンブ漁場で厄介物として扱われるアイヌワカメとアツバ昆布などの海草に多く含まれている多糖類「ラミナラン」が持つ、ヒト細胞を活性化する機能に着目して製品化した。
同社の技術水準の高さを裏付けるものとしてこれまで開発した実績を見ると
①サケ皮コラーゲンを用いた化粧品の研究開発
② ニキビ治療を目的とした医薬品及び薬用化粧品の開発
③安全性の高い新規化粧品原料(保湿剤)としての多糖類及びタンパク質の研究
④茶抽出物が美容と健康に及ぼす効果の基礎的研究
⑤市販化粧品を用いた美白効果の検討
⑥各種医療機関から依頼される化粧品の受託製造開発 などがある。
今後の研究開発の道標について同社は「近年の急速な基礎医科学の進歩によって消費者の化粧品選びも従来の使用感に依存したものから、一歩進んだ美容効果や理論を求めるものへと変化しつつあり、化粧品に求められるニーズも高度になっている。当社は医療、研究機関などとの連携を活かして効果と安全性の高いレベルで両立させる化粧品メーカーとして成長していく」と説く。