【特別企画】大手各社の化粧品事業戦略に迫る[11] ハーバー研究所、スクワラン美容法普及に拍車

2013.07.23

特集

編集部

ハーバー研究所、スクワラン美容法普及に拍車

食品、サプリメント、育毛剤早期実用化図る

自然派化粧品を標榜するハーバー研究所は、2013年5月で創業30年を迎えた。現在、化粧品の製造販売と栄養補助食品の製造販売を主力事業としている。

今年度は、主力商品で深海鮫の肝臓から抽出したエキスを純度99.9%まで高めた天然オイル配合の化粧品「スクワラン」の美容法普及に一段と力を入れ、新規顧客の獲得、顧客の固定化に繋げる。また、化粧品のOEM受託や新たにより機能化を図った食品・栄養補助食品、育毛剤などを市場に投入するなどして今期(2014年3月期)売上高140億円(前期132億円)を目指す。

同社の国内化粧品販売は、今年3月末現在、通販を主体に百貨店48店、直営店29店、量販店733店など複数のチャネルで販売。

ルート別売上比率は、通販が63.4%、百貨店向け卸売9.1%、販売事業者向け卸売21.9%、直営店5.6%となっている。また、海外は、米国、モンゴル、マレーシア、タイなど8ヵ国に代理店を置いて販売している。

今期、特に力を入れて取り組むのが国内でのスクワランの美容法普及による顧客獲得作戦。銀座のビルの一角に設けた専用サロンで「肌の力応援塾」「丸の内朝大学」と称したOL限定のオリジナル講座を開設し「スクワラン美容」の普及に一段と拍車をかける。

出張講座にも力を入れて取り組む。すでにNHK文化センターのカルチャー講座で素肌美人のポイントや美肌習慣を講義。同時に、障害者や就職を控えた女子大生対象のメイク講座など各種セミナーを開催して同社の化粧品のファン作りに繋げる。

引き続き企業、大学、カルチャースクールなどからの出張講座要請に応じて出張講座を全国規模に拡大し、新規顧客や固定客の安定獲保に繋げる方針。

同社は、創業以来「肌に必要なものだけを与え、肌に負担となるものは一切加えない」という無添加主義(経営理念)に基づき防腐剤パラベンなど、肌への刺激となるものは一切使わず、メイク品も色素は、無機顔料のみを使用している。それだけに、安全主義に徹する研究開発の要生命科学研究所に賭ける期待はより大きくなってきた。

現在、生命科学研究所は、独創的で価格競争力の強い商品の開発に取り組む。特に、次期戦略商品として食品と栄養補助食品、育毛剤などについ力を入れて開発に取り組んでいる。

中でも栄養補助食品は、できるだけ早期に商品化を図ることによって株式会社ノースジェニシスの食品工場を本格稼動(2014年7月予定)に繋げるのが狙い。さらに、OEM受託事業を強化して関係会社HプラスBライフサイエンスの化粧品工場の稼動を強化することも戦略に位置付けている。

同社は、こうした一連の事業強化によって中長期的に売上高経常利益率を20%、全社売上高200億円の大台乗せを狙う。

研究開発の取り組みについて所長にうかがった

研究開発も無添加主義貫く

ハーバー研究所取締役生命科学研究所所長・柴田浩樹氏

ハーバー研究所_柴田浩樹氏

 ―研究開発の基本ポリシーから伺いたい

「当社の登録商標となっている無添加主義を貫くことが経営理念であり研究開発の基本的考えです。化粧品開発においても防腐剤パラベン、石油系界面活性剤、タール系色素、合成香料、鉱物油を一切使用していません。肌への刺激となるものは一切使わず、メイク品も色素は無機顔料のみを使用しています。この安全主義の考えは、食品、健康補助食品の研究開発にも適用しています。」

 ―研究開発の陣容は

「研究開発者は、12名、品質管理者2名の14名体制で行なっています。研究開発費は、総売上高の約3%を投じています。30年たっても色あせない商品開発を目指して効率的に取り組んでいます。」

 ―どのような独自技術、特異技術を持っていますか

「高純度の植物性スクワラン技術やスクワランに代わる新原材料の探索技術、タンパク質が糖化し変性することを防止する抗糖化の応用技術などがあります。特に、無添加と処方技術に加えてビタミンC誘導体を薄い膜で包み安定化させる技術は、強い分野と言えます。新しい技術や素材開発を促進するため現在、東工大と立命館大学に寄付講座を設けています。東工大とは、抗酸化の測定技術と医療機器の研究開発が中心。立命館大学は、植物由来の新素材を中心に共同開発を進めています。」

 ―現在、開発中の商品は

「病気を患っている方でも美味しく食べられる食品や生活習慣病、抗齢化などに対応した素材処方のサプリメントを開発中です。また、来年度中にも育毛剤を市場に投入する方針で開発に拍車をかけています。当社は、生薬栽培技術を応用することで遺伝子組み換えをしない植物栽培の研究にも取り組んでいます。北海道で栽培したハト麦使用の素材(酵素熟成ハト麦)開発もその1つです。こうした新素材を使って化粧品や食品の開発にも鋭意取り組んでいるところです。」

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