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父親のダイエットで娘の乳がんリスクを減らせる

ラットでの実験結果ではあるが、父親のダイエットがその娘の乳がんリスクを下げる可能性があるという研究結果が7月26日、「Breast Cancer Research」オンライン版に掲載された。

近年の研究では、子孫の健康に父方の影響状態が影響するという結果が注目されている。父方の栄養失調がその子孫へ、代謝性疾患への感受性を高めるという報告や、乳がんリスクに対する父方因子の研究はいくつか報告されている。

ブラジル、サンパウロ大学の研究者らによるこの実験は、成熟期(思春期)前の雄のラットに高飽和脂肪のラードを加えた餌と、不和脂肪のコーン油を加えた餌のどちらかを与えて行われた。比較はエネルギーの16%を脂肪からのものとする餌とした。この実験ラットを父とする雌ラットには市販の一般的な餌を与え、7,12-dimethylbenz[a]anthracene誘発ラット乳がんモデルとした。精子細胞および乳腺組織には細胞分析および分子分析を行った。

比較対照の餌と、ラード添加の餌を食べたグループから生まれた娘ラットでは、腫瘍の潜伏期、成長、多重性に差はなかった。しかし、ラード添加の餌グループでは、対照グループおよびコーン油添加餌グループと比較して、乳腺上皮ツリー、末端の芽の数、腫瘍発生率が増加していた。対照グループ、コーン油添加餌グループの娘ラットは腫瘍の成長が遅かったが、腫瘍の発生率や多種性などに違いはなかった。加えて、コーン油添加餌グループの娘ラットは腫瘍潜伏期が長いだけでなく、ラード添加餌グループと比べ、腫瘍の増殖および多重度が抑制されていた。父親ラットの高脂肪食は、動物性のラードで乳がんリスクが大きく、植物性のコーン油ではリスクが少なかった。個の影響は、父ラットの精子と娘ラットの乳腺におけるmicroRNA発現の変化と関連し、乳がん関連タンパク質発現を修飾していた。

研究者らはこれらの結果から、乳がん発生に影響する、父親の栄養の重要性を強調している。

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橋本奈保子

顧問記者(国際情報、薬事・医療ニュース)

名古屋大学大学院、英国Durham University, Graduate School 卒。編集者、ライターを経てフリージャーナリストとして独立。専門分野は、医学・化学関連。また、同分野を中心に翻訳、ウェブコンテンツ・ディレクターとしても活躍中。 本誌では主に、米国欧州を中心に先端美容医療、化学、米FDAなどの情報を担当。

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