米国FDAが「グルテンフリー」食品の定義を決定
2013.08.8
編集部
米国食品医薬品局(FDA)は2日、食品の自主表示の用語 「グルテンフリー」を定義する新たな規制を発表した。
これは、小麦・などに含まれるタンパク質の一種、グルテンに対する免疫反応が引き金になって起こる自己免疫疾患のセリアック病患者への対策の一環として定義が求められていたもの。米国でのセリアック病は約3万人と推定されている。セリアック病患者はグルテンを含む食品を摂取すると中毒症状を発症し、小腸に損傷を与える。そのほか、貧血、骨減少症、出血リスクの上昇、ビタミン欠乏などの長期的な健康被害が認められる。遺伝的な疾患であり、大きな手術、感染症の後や、ストレス、妊娠・出産の後などに初めて症状が起こる可能性が高いとされる。
今回、FDAは食品業界全体に対して、新しい「グルテンフリー」の定義の使用を標準化を要請した。「グルテンフリー」と表示できるのは、食品全体のグルテン含有量が20ppm未満という厳しい基準。この定義では同時に「グルテンフリー(gluten-free)」だけではなく、「no gluten」、「free of gluten」、「without gluten」なども類似の表示とし、「グルテンフリー」と同じ定義を適用するとした。FDAでは、現時点で多くの「グルテンフリー」と記した食品ラベルの多くが、すでに今回の基準を満たしているものと考えているが、新しい定義への準拠には1年を待つことになる。
グルテンフリーの食品はまた、ハリウッド女優やセレブたちが実践しているという「グルテンフリー・ダイエット」で一躍有名となった。これは、セリアック病とは別に、ヘルシーな新しい食習慣として流行している。しかし、グルテンフリーによって、健康への効果やダイエット効果が認められたという医学的な根拠はなく、医学・栄養学者の中には、グルテンを含むパンやパスタを避けることでの栄養不足を案じる声もある。