ボトックス注射でうつ症状緩和の可能性
2020.08.5
国際部
しわ取り治療にも多く用いられているボトックス注射による抗うつ効果を評価した研究結果が7月30日、「Scientific Reports」オンラインに掲載された。
WHO(世界保健機関)は、世界のうつ病患者の数を2億6400万人超えると推定している。現在主流のモノアミン伝達調節療法では患者の約3分の1には効果がない。このため、電気けいれん療法、経頭蓋磁気刺激、ケタミンなどが試みられており、眉間へのボツリヌス毒素注射もその中のひとつである。
今回の調査は、アメリカ食品医薬品局(FDA)有害事象報告システムのFAERSに登録の1300万件の市販後安全性報告から4万件を超えるボツリヌス療法の報告を分析し、ボツリヌス毒素の抗うつ効果を検証した。その結果、多汗症、顔面のしわ、片頭痛の予防、けいれん、けいれんを治療するためにボツリヌス注射を受けた患者は、同じ状態で異なる治療を受けている患者と比較して、うつ病の報告が大幅に少ないことを示していた。