美白コスメ激変(下)~美白広告の表現、薬機法で規制~

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2021.04.9

編集部

日本国内の美白表現に関する論点は、欧米の「肌の色によって人権を差別化すること」と異なる。現在、大手、中小を問わず国内化粧品各社は、美白をうたった化粧品広告を打ち出し、美白表現を規制することなく乱舞している状態にある。

日本国内において一般化粧品、薬用化粧品の美白表現に関しては、日本化粧品工業連合会(東京都港区)が「美白広告表現ガイドライン」(2005年4月)を作成して会員に遵守要請を行ってきた経緯がある。
同ガイドラインは、薬事法をベースに美白表現の範囲を一定のルールに従って表現することを求めたもの。現在では、2014年11月に薬事法改正に伴い、薬機法に準拠して化粧品の美白表現の範囲がルール化されている。

しかし、美白広告についての現状を見ると業界のガイドライン、薬機法ルール化等について企業自身が遵守することとはいえ、ルールを逸脱した広告表現が目につく。また、かつて美白化粧品を根底から覆したカネボウの白斑問題(2013年9月)は、美白化粧品そのものを市場から払拭させた歴史がある。しかし、今では、美白化粧品の惨事を忘れ去る感じが否めない。その意味で、美白化粧品の表現について国内化粧品会社と欧米企業とでは、捉え方や意識に温度差が大きいと言わざるを得ない。

現在の薬機法に定める一般化粧品、薬用化粧品に関する美白表現の範囲は「メーキャップ効果により肌を白く見せる」ことについては表現を認めている。例えば、「メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ」などの表現は、認めている。逆に認められない美白化粧品の表現範囲は、薬用化粧品の場合、メーキャップ効果である旨が明確でなく誤解を与える表現、例えば「メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ」等の表現は認められない。

美白化粧品の広告においてどのような美白表現であればいいのか、逆にどんな表現がダメなのか法令を参考に遵守することが必要。広告において化粧品の美白豹変として許可されているのは、法令で56項目に上る。

ともあれ、欧米化粧品企業に見られる美白・ホワイトニング等の表現・商品販売中止の動きは、美白を前面に押し出してワールドワイドに戦略を構築してきた橋頭保が崩れ去った。
これに対し国内化粧品各社は、美白化粧品の表現について「海外市場での影響は避けられない」と懸念する一方、国内においては、薬機法やガイドラインに準拠して対応するとの空気が支配的。しかし、中小化粧品の中には「美白の表現は自由であり何ら歯止めがない」と鈍い受け止め方をするところも散見される。

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