日焼け止め製品中のベンゼン、トルエン、スチレンの調査
2023.06.20
国際部
米国で販売されている日焼け止め製品中のベンゼン、トルエン、スチレン量と皮膚曝露の調査結果が5月18日、「Science of the Total Environment」オンラインに掲載された。
パーソナルケア製品中のベンゼンなどの揮発性有機化合物(VOC)の発生は、公衆衛生上の懸念事項でとなっている。日焼け止め製品は、太陽光による紫外線から皮膚や髪を保護するために広く使用されているが、含有されるVOCの曝露量とリスクについてはほとんど知られていない。今回の研究では、米国で販売されている 50種類の日焼け止め製品中の 3種のVOC、つまりベンゼン、トルエン、スチレンの濃度と曝露量を測定した。
その結果、ベンゼン(平均濃度45.8ng/g)、トルエン(平均濃度89.0ng/g)、およびスチレン(平均濃度161ng/g)は、サンプルのそれぞれ80%、92%、および 58%で検出された。小児や10代の若者のベンゼン、トルエン、およびスチレンに対する平均経皮曝露量(DED)は、それぞれ68.3、133、および441 ng/kg-体重/日であったのに対し、成人のそれは48.7、94.6、および171 ng/kg-体重/日だった。小児や青少年向けの 22種類の日焼け止め製品 (サンプルの44%)と成人向けの 19種類の日焼け止め製品 (同38%)に含まれるベンゼン濃度による生涯がんリスクは、許容されるベンチマーク リスク レベルを超えていた。本研究は、日焼け止め製品に含まれるベンゼン、トルエン、スチレンの濃度とそのリスクを包括的に評価した最初の研究である。