経産省、介護ロボット導入に補助、実用化プロもスタート(上)
2014.01.27
編集部
経済産業省は、新たに今年3月から介護機器の実証導入補助事業を始める。民間企業が開発した介護ロボットを全国100ヵ所の介護施設に導入・実証することで、介護ロボットの普及・促進を図る狙い。また、経産省が主導して産学官連携の介護ロボット実用化プロジェクト(2013年度から2017年度の5年間、ロボット介護機器開発・導入促進事業)をスタートさせた。同プロジェクトは、民間企業が介護ロボットの研究開発を促進するための補助事業と合わせて補助事業に採択された企業や共同研究の意志を持つ企業合わせて47社がパートナーシップ(ワーキンググループ別)を組んで、標準化された介護ロボットを10万円程度の価格で、手軽に使える移乗、移動ロボットなど5領域の介護ロボットを開発し、国内介護ロボット市場の創出と2030年までに500億円市場の形成を目指す。
3月からスタートする介護機器の実証導入補助事業は、介護ロボットを開発・実用化し介護・医療施設などにロボットの導入を図る計画を持つ民間企業(複数の企業でチーム構成)に対し、公募選定を踏まえて経費の3分の2又は2分の1を補助する。経産省は、同事業を開始するため2013年度補助事業費として20億5000万円(補正)、2014年度25億5000万円の予算を計上、3月から公募を始めるための準備に入っている。
一方、産学官連携の介護ロボット実用化プロジェクトは、2013年度で完了するNEDOプロジェクト「生活支援サービスロボット」開発事業を引き継ぐ形でスタートさせた。
同プロジェクトは、民間企業の介護ロボット開発を支援する研究開発補助事業(2013年度予算23億9000万円、2014年度21億円計上)と同時、並行的に行なっているのが特徴。個々の企業に補助金を交付することで、介護ロボの研究開発を促進し合わせてプロジェクトを組んで標準化された介護ロボットを開発することで、介護施設現場に早期に投入する狙い。
同プロジェクトには機器の機能評価や安全性などの実証プロトコルの確立、モジュール化、標準化の検証を行う産業技術総合研究所をプロジェクトリーダーに名古屋大、日本ロボット工業会、日本福祉用具評価センターなど11の機関と経産省の介護ロボット研究開発補助事業(移動支援介護ロボ補助期間2年、移乗と排泄支援同3年など)に採択された企業や共同研究の意志を持つ企業合わせて計47社がプロジェクトに参加(表)している。標準化に沿ってロボット技術を用いて介助者のパワーアシストを行う装着型の機器やロボット技術を用いて介助者による抱え上げ動作のパワーアシストを行う非装着型の機器、高齢者などの外出をサポートし、荷物を安全に運搬できるロボット技術を用いた歩行支援機器、排泄物の処理にロボット技術を用いた設置位置の調整可能なトイレなど5領域の介護ロボットをワーキング別に開発する。