再生医療技術:自家培養軟骨で鼻の再建術成功
2014.04.16
国際部
損傷すると自然治癒しない軟骨の治療は外傷や骨折よりも難しいとされてきた。近年の再生医療技術の進歩により、日本では自家培養軟骨を使用した治療が承認され、平成25年からは保険適用となり、スポーツ外傷によるものと、激しい運動などにより関節に力がかかって起こる離断性骨軟骨炎といった膝関節内損傷の治療が行われている。
今回の研究は、スイスのバーゼル大学によるもので、自家培養軟骨を使った鼻再建に成功した初めての報告。4月11日に「Lancet」オンライン版に掲載された。
対象となったのは、黒色腫でない皮膚がんによる腫瘍により鼻軟骨の切除を行った患者5名。それぞれの患者自身の鼻中隔から軟骨を少量採取し、研究室内で培養軟骨を生成。その後、各患者の鼻軟骨欠損部に移植した(自家培養軟骨移植手術)。
移植6カ月後には鼻の筋繊維、脂肪構造の再生が確認され、1年後には全ての患者が手術結果に満足を示した。副作用や有害事象は認められなかった。再生された部分の鼻の皮膚感覚は良好で、呼吸機能も安定していた。