大手パーソナルケア企業が中東市場強化へ戦略的シフト
2014.05.23
国際部
中東市場向けのパーソナルケアの製品開発が活発になっている。ウォール・ストリート・ジャーナル紙(5月20日付)によれば、ドイツの消費材メーカー・ヘンケルAGは、イスラムの女性を対象に「GLISS(グリス)」ブランドからシャンプー、コンディショナー、ヘアマスクをリフレッシュさせて製品化した。ヘッドスカーフを着用する女性が抱える頭皮のかゆみを対処するために世界で初めて開発されたパーソナルケアになるという。
英蘭大手のユニリーバは中東市場をターゲットに「Sunsilk」というベストセラーのブランドを微調整し販売強化に乗り出した。 スキンケアでは、米プロクター・アンド・ギャンブルはペルシャ湾の消費者を対象に「オーレイ」ラインから美白クリームの販売を加速し、独バイヤスドルフ社は大衆ブランド「ニベア」から販売しているムスクボディローションのキャンペーンに中東の女性作家からの“恋愛小説”を最近採用するなど、最大手のグローバル企業が中東市場でのプレゼンス拡大を狙っている。
従来のマーケティング戦略では欧米の消費者向け製品をリリースすれば海外市場で、そのまま受け入れられると考えられていたが、中東の購買欲はこれを変えさせたと業界関係者は指摘する。マレーシアに拠点を置くハラル産業開発公社によると2013年のハラール認定の副産物の市場規模は2兆1000億ドルと報告されている。この内およそ9%がハラール認定化粧品で、潜在的需要の大きさから将来性が有望視されている。
ヘンケルはR&Dの研究開発チームの一部をドバイに移転させ、中東諸国の消費者のニーズの開拓と新製品のマーケティングの高速化を強めた。今後は、拡大する中東市場で研究・生産拠点設立など設備投資が加速するかも知れない。