化粧品各社 海外展開を加速、資生堂海外売上げ国内を上回る

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2014.06.11

編集部

化粧品大手各社が米国、アジア市場での海外展開を強化・加速している。国内化粧品市場が先行き飽和状況に陥り高い伸びが見込めないことから海外に一斉に活路を見出しているもの。すでに、資生堂は、2014年3月期で化粧品の海外売上比率が50.5%に達するなど国内での売り上げ比率を上回った。しかし、中国・アジア市場中心に欧米、韓国などの化粧品各社が勢いを増すなど激しい市場争奪戦に突入している。

資生堂の2014年3月期総売上高(化粧品売上高)7620億円に占める海外売上比率は、50.5%(売上高3847億7400万円)と国内売上比率49.5%(同3772億7200万円)を上回った。2014年3月期の海外売上比率が2013年3月期の44.9%から5.6%アップの50.5%に増えたのは、化粧品事業が経済成長を持続する米市場で好調に推移したのが主な要因。

先行き米市場での化粧品事業は、現子会社の米ベアエッセンシャル(2010年1月、約1800億円で買収)の業績が寄与することなどから海外売上比率は、さらに高まる見通し。

コーセーは、2014年3月期総売上高1900億4900万円に占める海外売上比率が12.8%(金額ベースで約243億円)となった。

海外事業については、既存進出国での収益性改善を継続すると同時に、今年3月に137億円で買収し、子会社化した米タルト(ニューヨーク)の米市場での本格展開や未進出国への参入を積極的に進める。2020年に向けて総売上高に占める海外売上比率を30%~40%に持って行く方針。

花王の子会社カネボウ化粧品の2013年1月-12月総売上高は、約1800億円(花王の連結決算対象)。同社は海外の業績について「花王の連結決算の対象になっており開示できない」としているが総売上高に占める海外売上比率は、約10%強にのぼる見込み。

今年4月から持株制に移行し、ファンケル化粧品(子会社)が化粧品事業を展開するファンケルの化粧品海外戦略は、2014年3月期を初年度に2017 年3月期までの3ヵ年中期経営計画に沿って展開する。

台湾、シンガポール市場では、小売事業から撤退し、卸ビジネスとして展開する。また、米市場では、ボウシャ(非連結会社)の取扱店舗数を拡大するとともにファンケルブランドの再構築を図る。引き続き、アジアやヨーロッパなどへの新規進出を図りグローバル化を加速して海外の化粧品売上比率を2014年3月期の11.7%から徐々に引き上げて行く方針。

海外でスキンケアの攻勢をかけているのがロート製薬。同社の2014年3月期スキンケア売上高は、国内、海外合わせて947億円にのぼった。海外でのスキンケア販売は「肌研(ハダラボ)」や男性用化粧品「メンソレータムメン」、日やけ止め「サンプレイ」などを中心に展開。

同社は「スキンケアの海外売上高と海外比率を開示していない」としているが2014年3月期では、中国を中心としたアジア市場での売上高が38.8%増の391億円と大幅に伸びた。また、米市場は、11.9%増の62億8800万円、欧州市場が21・2%増の48億円を売り上げた。今後、アジア市場に加えて新興国やイスラム諸国、アフリカなどにも海外展開を加速する考えで、2019年3月期までに海外の売上高を1000億円に持って行く方針。

このように国内化粧品各社が海外展開を一段と加速する動きにある一方で、中国、アジア市場を中心に仏ロレアル、米エスティロ―ダ、ユニリ―バ、P&Gなど欧米の化粧品各社が製造拠点の開設や大都市の百貨店、化粧専門店への出店、沿岸部から内陸部への販売チャネルの拡大、広告宣伝活動の強化などシステム販売を強化してテコ入れを図っている。

最近では、LG生活健康やコルマー、コスマックスなどの韓国勢が中国市場で、韓流コスメブームを巻き起こすなど台風の目として存在感を増してきた。果たして国内化粧品各社が海外市場をどこまで掘り起こせるか、海外企業買収を含めて今後の展開が注目される。

化粧品各社の海外事業(2014年3月期)

 

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