メークアップを作業療法に取り入れる研究を、カネボウと東京工科大と首都大学東京が共同開発
2012.06.5
編集部
お化粧をすることで気持ちが引き締まったり、リフレッシュしたりすることは、女性なら日々感じることだろう。そんな気持ちを障害者の方たちにも感じてもらうために、メークアップに積極的に関わってもらおうと、東京工科大学(医療保健学部作業療法学科 石橋仁美助教)、首都大学東京(健康福祉学部作業療法学科 石井良和教授、石橋裕助教)、カネボウ化粧品・美容研究所の研究チームが”化粧”を基盤とした作業療法プログラム(以下SSPC)の共同開発を始めた。
2012年末のプログラム完成を目指し、障害者の方たちの生活作業の軽減と生活の質を向上させようとしている。
共同開発の前に作業療法士が試行した化粧プログラムで「化粧療法の重要性」「化粧プログラムの課題」を抽出し、これを6月15日~17日に開催される第46回日本作業療法学会で発表する予定だ。以下、詳細の要約。
【化粧療法としての化粧プログラムの意義】
作業療法は人々の健康と幸せ、また障害者の生活再建のための活動を作業療法士が支援するリハビリテーション。この作業は生活活動全般を指し、それには「化粧」含まれ、特に女性は化粧をすることで積極性や自主性が向上すると言われている。しかし、まだ支援方法が確立できていないのが現状だ。
【作業療法士による”化粧を用いた作業療法”の検討】
東京工科大では、化粧に精通した作業療法士による化粧療法を研究・試行しており、その手応えもつかんでいる。化粧は感情を肯定化し、退院後の生活意欲に繋がっている。しかし、作業療法士は化粧の専門家ではないため、クライアントである障害者の似合う色のアドバイスや化粧品に関する質問に答えられない、化粧法の難易度に対応できないなどの問題点もあがった。
SSPCは「買い物に行きたい」など、化粧に関連がある生活に密着した活動を支援するプログラム。クライアントの「外出したい」という目標を達成できるように、作業療法士が化粧をクライアント自身でできるようにサポートしていく。人が行動をするときの動機、パターン、実行という作業療法の理論のひとつ『人間作業モデル』の一部を、このプログラムに取り入れる学習会も行われた。これによってクライアントに必要な化粧技術を理解してもらえるようになったという結果も出ている。
今後、これはSSPCの活動にも取り入れ、効果を期待。また将来的にSSPCは全国の作業療法士に普及させることも視野に入れている。
(関連資料)
◎リリースURL/PDF
http://www.kanebo-cosmetics.co.jp/company/newsrelease/pdf/20120529-01.pdf
◎株式会社カネボウ化粧品:公式サイト
http://www.kanebo-cosmetics.co.jp/
◎東京工科大学 :公式サイト
http://www.teu.ac.jp/